年の功

 村を出てしばらくのところ、暗い森の中、いかにも童話に出てきそうな不気味なそこに、小さな小屋があった。

 もちろんメイアがこの小屋を見逃すわけがない。はてさてここにはどんな人が住んでいるのか。たいてい人を避けて暮らすのは、何かしら、何かしらがすごい人と相場が決まっている。

「もしもし、ちょっと、いいですか。」

 メイアは躊躇いもせず扉を叩いた。

「はいはい、どうぞ、いいですよ。」

 中から出てきたのは老人だった。

「さてはあなた、何かすごいことができますね?えぇそうでしょう?」

 すると老人はニコリと笑った。

「いいや嬢ちゃん、わたしゃただの老人さ。ちょいと光が上手に使えるだけでねぇ。」


 するとメイアは頭に?を浮かべた。

「だったらなんでこんな暗いところでひっそり暮らしてるんです?」


 老人は笑って答えた。


「そりゃあほら、暗い方が、光の魔法を使う機会が増えるだろ?」

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