幻想喜劇

天邪鬼

狩人

 その小屋は村の外れにあった。

 辺りは木が生い茂るばかりの静かなその小屋で、狩人が一人、気の向くままに暮らしていた。


「すいませーん、ちょっといいですかぁ?」

 そう言ったのは一人の旅人。旅人は女。なんでも、魔法について調べるために世界各地を回っているのだという。


「はい、なんでしょう?」

 出てきた狩人は背が高く、なかなかに男前である。ところがどうして、狩人と言うわりには少しばかり細い腕をしている。


 これはもしやと、見つけたぞと、女は目を輝かせて訊ねた。

「もしもし狩人さん、私は世界中の魔法を調べて回ってるんですけど、あなたは何か技をお持ちですね?」

 すると狩人はハハハと笑った。

「なに、大したことはありません。ただ僕は、光の魔術を応用して、魔法の弓矢を作れるんです。」


 そこで女は頭に?を浮かべた。

「…それって何の役に立つんですか。普通に木の弓矢を使っても同じでしょう?」

「バカ言っちゃいけませんよお嬢さん。」

 男は自慢気に言った。


「だって、矢を作る手間が省けるでしょう?」

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