少年たちの小学校最後の夏休みに起こったひと夏の冒険。そこに過去の事件といにしえの伝説が絡み合って物語は進んでいきます。
「序章 1984年 夏」から始まる出だしでぐっと引き込まれ、主人公たちが過ごす夏休みのワクワク感に乗ってページを繰り、そして時空を超えてつながる、余韻を残すラスト……。
龍神伝説を題材としたきわめて伝奇的な作品世界が展開されるのですが、ともすれば不可思議な事件や神秘的な伝説の設定が幅を取ってしまいそうなところ、あくまで少年目線でお話が進むことでコンパクトで収まりのよい短編に仕上がっています。
全編にわたって流れる、ノスタルジックで切ない雰囲気も素晴らしいです。
おススメです!
第1章の記述内容に度肝を抜かれ(は言い過ぎですが)、心を鷲掴みにされて第2章以降に突入し、最後まで一気読みでした。
男の子の冒険譚って良いですよね。これを主人公1人でこなすと違った雰囲気になってしまったと思います。私は、2人の冒険譚にして、良かったと思います。
子供の冒険譚なので、変に真相を追求する事もなく、だからこそメルヘンチックな雰囲気を漂わせたまま、そして、物語としては現在完了形なんですが、大半の読者の年齢からはノスタルジックな趣きを感じてしまう、微妙な匙加減が効いた良い作品です。
短編にはMAX2つの信条ですが、これには星3つを付けました。