9月18日

 また前日の夜からになります。

 今夜も夜のツーリングに出かけてしまいました。危ないなとは思うのですが得も言われぬ魅力があって。巨大な雲が広がる夜空を横目に走ってるとラピュタか何かのような錯覚さえ起こしてしまいます。くれぐれも安全運転で。


 17日夜は集落の広場でアニメ映画鑑賞会が開かれていました。島の子ども達がみんな集まっているような印象です。離島でどうしても不便なのは映画館が無いためこういうイベントでも無いと見れない事ですね。有志の映画鑑賞会なども開かれているようです。

 自分がもしここで生活するならなんて考えてしまいました。


 18日朝は特に早起きで、昨日の行けなかったパン屋たまなに向かいます。開店前に着いたのに既に10人くらい並んでます。これは7時で売り切れるなと思いながらいくつか購入。

 今さら自分の舌には信用ないかもしれませんがもちっとした生地がたまらなく美味しいです。メカジキのカツバーガー、アンパン、ツナとハムサラダのサンドイッチ、勿論他にも色々ですが早起きして他のパンも試してみるのもいいかもしれません。


 一旦戻って製氷海岸へ。恐らくこの日初めてこの海に入ったのは自分だと思いますが場荒れしてないようで魚は多かったです。枝サンゴの草原を沖に泳いでいくと急に草原が海底に沿って深くなっていく所がありますが、そこまで行くと稚魚達が群れて泳いでいました。最後のシュノーケリングとしては満足ゆく内容です。

 沖を回って一周して浅瀬に着くと、シーグラスと呼ばれるガラス瓶などが砕けて削れた物がたくさん沈んでいました。珊瑚の欠片等は持ち帰るのはやめようと思っていましたが、これなら問題ないと思いしばしシーグラス集めに熱中してしまいます。良く洗って植木鉢にでもまけばきれいになりそうです。製氷海岸は集落に近いのでシーグラスも多いのかもしれません。


 ここまで6日間もお世話になったグレンラガン号に別れを告げます。失敗だったのはガソリンスタンドが日曜で休みのために補充できなかったことです。お店の人に平謝りしてガソリン代を追加で払います。こういったレンタルバイクなどはガソリン満タンで返す物ですが離島では給油制限があったり、お店も毎日営業とは限りませんから注意が必要ですね。

 

 後は帰る前に大村海岸で少し泳ぎます。大村海岸は集落の前にあるビーチで、シュノーケリングには向いていませんが美しい砂浜と海で、いかにもリゾートビーチと言う感じです。自分好みでは無いですが。この旅の中結構ハードに山を登ったりマイナーな海岸で泳いだりしてましたから最後は海に浸かるだけもいいでしょう。これで父島の自力で行ける海岸は全て泳げたかと思います。

 集落周辺でお土産を物色したり、街並みを眺めたりのそぞろ歩き、昼食に亀肉の煮込み丼を食べます。色んな部位が入っているのかモツ煮と同じような食感です。中々の美味。


 お土産にはパッションフルーツのジュースとリキュール。小分け出来るお菓子に島で獲れるタコノキの実を入れた味噌。それと島の野菜とフルーツを買いました。パッションフルーツは8月で終わっていたのでそれは残念でした。


 名残惜しいですが出港の時刻が近付きます。待合室の本棚に寄付して自分の持ってきた「無人島で生きる16人」を置いてゆきます。代わりに船で読む本をもらってと思いましたが何故こんなところに「ゴブリンスレイヤー」がとちょっと戸惑いました。小笠原にも濃い人は住んでるのかもしれません。


 いよいよ船に乗り込み出港の鐘が鳴ります。比喩表現では無くてスピーカーから聞こえる本当の鐘の音です。港には宿の人やガイドの人。南洋踊りや太鼓で見送ってくれる島の人たちで一杯です。少し恥ずかしいですがこちらも手を振り返します。

 昔小笠原に来た時は船の反対側で見送るようにイルカが泳いでいましたが、今回はジェットスキーで見送ってくれる島の人達が、曲乗りを見せてくれました。

 沢山の船やジェットスキーに見送られながらおがさわら丸は東京へと向かいます。船からは定番の挨拶「いってらっしゃ~い!!」が聞こえました。確かにまた帰りたい島です。

 夕日が沈む頃、今までの疲れがどっと出たのか寝台に戻り夢も見ずに寝てしまいました。



 19日、起きると外は雨模様です。台風の影響でしょう。船のテレビで上映されていた「マエストロ」を見ながら時間を潰します。

 今は東京に戻りこの日記を書いている訳ですが、何だかこちらに現実感が無いような不思議な感じがします。駅の雑踏がいつもは意識していなかった色んな匂いを運んで来て、自分のホームに帰って来たんだなと感じました。


 以上を持ってこの旅行記を締めさせてもらいたいと思います。もしどなたかが小笠原に行く時に参考にして頂けるなら幸いです。

 ではまた機会が有れば。

 

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無職になったので小笠原諸島行ってきます。 文月 狛 @humizukikoma

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