生は苦しみ世は地獄

白川津 中々

第1話

 ベッドの中で目を覚まし闇。

 満たされぬ心が躁ぎ暗。起き上がり鬱々。飲み晒しの酒を煽り絶。転。広がる光明は刹那。再び倒れ眠る。

 生は苦しみ世は地獄。

 生は苦しみ世は地獄。


 生まれ出で四季重ね。幸も福も皆無。幼少の希望は自らの怠惰に呑まれた。

 無力。

 無能。

 それが私の全てであり証明である。何も持たず、何もできず、何もやらず。ただ命を燻らせ、死に近づく。にも関わらず、せめて人並みに生きたいとなどと漏らす厚かましさには呆れ返るばかりである。


 お前は死ぬまでそのままだ。


 腹の奥底で誰かが叫ぶ。誰か。それはまごう事なき私である。

 生は苦しみ世は地獄。

 生は苦しみ世は地獄。


 人と違う。これまで何もできなかった。何もできなかった。何もできなかった。何もできなかった。

 周りを見れば絶えぬ笑み。私以外は皆笑う。素晴らしき人生に! 偉大なる生命に微笑みを捧げているのだ! 衝動。脳に過る邪悪。眼前には赤子を抱く母親。血液が逆流する。鼓動が重く、響く。息は圧縮され呼吸をする度意識を失いそうになる。私の命が燃えている。幼き命を焼き尽くさんと、熱く。熱く。熱く。熱く!

 鮮血。絶叫。怒号。



 生は苦しみ世は地獄。

 生は苦しみ世は地獄。

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