6. 電灯に群がる虫
夜中の四時、細い道を自転車で走った。先を走る原付バイクが曲がり角を曲がって見えなくなった。微かに聞こえてくるエンジン音を追う。
曲がり角まではまだ距離があって、原付バイクはどこに行ってしまうか分からない。
知らない土地で暗闇の中、はぐれてしまわないように全力でペダルを踏む。
人通りのない真っ暗な住宅街を走っていると、永遠にこの世界から出られないような恐怖が湧くのだった。
いつまでも追って追って……。
そこの細い道から何かが飛び出してくるんじゃないか、
今の人影のようなものは何だったのか、
背中を触られたのは気のせいか。
やっと角を曲がると、もう原付バイクの姿は見えなかった。
冷たい空気を伝わって、遠くからエンジンの音が聞こえる。
ただ逃げた、そのあとは何もない @kasumiko
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