真夜中の勇者

@kappaking

プロローグ


僕はまた同じ夢を見ていた。


いや、厳密にいうと同じではない。


前の日に見た夢の場所から続きの夢である。


それを思い出すのは、夢の中で、起きると夢の内容を忘れる。


それはみんな同じだと思う。


「ということは今、夢の中か」


誰もいないことをいいことに声に出してみる。


あたりは、木々に覆われ風で葉が擦れる音が返ってくるだけ。


今座ってるのは、昨日の夢で見つけた切り株の上だ。


この夢は妙にリアルだ。


風も感じるし、切り株の冷たさも感じる。


ただ空がいつもオレンジ色で、雲がピンク色なところがちょっと気味が悪い。

今まで気づかなかったが、太陽と月らしきものが、空に見えない。

それに夢の中だからかいつも寝る時に着ているストライプのパジャマではなく、僕にとって趣味じゃない無地のピンクのTシャツに黒の短パンというラフな格好になっている。


いつも通りにズボンのポケットを確認するのだがなにも入ってはいない。


最初に見た時は、ちょっとテンションが上がったが3回目となると飽きてくる。


この夢を見だしたのが最近、そうだな


あれは、16歳の誕生日迎え、家族で祝ってもらった日。


その日の夜から、見だしたと思う。


今この時でしか思い出せないから確実なことはいえない。


起きたら夢のことは忘れてしまうから。



ジリリリリジリリリリ



いろいろ考えていたら、そろそろタイムリミットが近づいていた。


いつものように頭の中に、現実世界リアルの目覚まし時計のアラームが響く。


今日は、探検することは出来なかったな。

と思い、瀬木せき かいは起床する。

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