第3話総理誕生

ニュースは連日大沢若者の党の総選挙圧勝を伝えていた。若者の党とはまたネーミングセンスがないが大沢は賭けていた。確信もあった。それは今の構造改革は若者でなければならない。信念と邪念があった。しかして思惑は的中し圧勝である。党首は佐世原であった。彼女の七面六臂の活躍のおかげである裏では川上からから川下へと言う大沢の選挙のセオリー通りアイドルが山間部の高齢者を訪問するという矛盾であったが高齢者の井戸端会議はやがて噂となりその子に伝わりまたその子に伝わる。sns隆盛の中、以前のフェス選挙、sns選挙の失敗を教訓にしていた。衆議院で過半数を抑え佐世原の首班指名間近の週末大沢佐世保原会談が持たれた。


閣僚名簿はこちらです。


差し出したのはなんと佐世原であった。主導権を握るため敏腕マネジャーが続けた。


閣僚の半数はイブニング96から選出しました。


話にならない。


翌日紙面を賑わわせたのは政治ではなくスキャンダルであった。


佐世原志乃不倫!


大沢の中で操れる党首は決まっていた。


選挙中街頭演説で目立つ者がいた。街頭演説ほど才能が光るところは無い。話し方、抑揚、民衆を惹きつける何か。生まれ持つ才能かもしれないが。演説原稿が終わりまだ民衆は聞いている。そこで自らの言葉で語った。


保育園が少ないのはなぜか!

老人ホームが増えているからである。

若者の所得が低いのはなぜか!

会社の上層部が老人だからである。

医療費が増えるのはなぜか!


後に知ったが彼女は政治学科志望であった。


衆議院議長が言った。


えー投票の結果、渡利真世さんを第142代総理大臣に使命されることに決しました。


拍手喝采。

大改革が始まろうとしていた。




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