ケシゴム団地

鍋島はやせ

冷たい優しさ。

とても寒い夜だった。


私は

そそくさに自宅のマンションに足を運び、

エレベーターに乗り込んだ。

外にいるときよりは風が吹かない分

冷たく感じられない。エレベーターの

中は密室で小さいせいか、自分の体が

暖かく感じる。


工事をしても尚、老朽化が凄まじい勢いで

エレベーターを蝕んでいるせいか、少し

自動ドアの開くスピードがゆっくりだった。


この間、ここの管理人がエレベーターの老朽化に危惧の念を感じ、工事を発注していたことを思い出すが、やはりもうここのエレベーターはだめだ。所詮は消耗品だからね。



エレベーターの外に出れば、


先のように風が頬を叩くように吹きつける。

あー寒い。




制鞄の中からごそごそと、

家の鍵を取り出し

鍵穴に差し込みくるりと右に回し、

ドアノブをひねり、

夜のせいで暗くなった玄関が

まるでほんとうの現実を表してるみたいで

少し嫌な気持ちになる。



404号室。


私の自宅である。








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ケシゴム団地 鍋島はやせ @nabeShimo6120

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