第5話 『三女なんですが……』
メルアにガミガミと怒られている。
「その能力は勝手に使ったらダメって、いつも言っているでしょう!!」
「そうでしたか、姉上」
「そうです!!」
「そうですね……姉上」
なんか急に
とりあえず俺は助かったんだな。
ほっと胸を
だから、もう離せエルダー。
「マサキさんに謝りなさい!」
「なぜ私があの者に?」
「あなたのせいで
「はぁ、申し訳ない」
「ちゃんと!!」
「……すみませんでした」
メルアは、三女の頭を押さえて一緒に深く謝罪してくれた。何度も、何度も。
俺がもういいよ、って言っても頭を下げた。
「メルアさん、本当にもう大丈夫ですから。俺、気にしてませんよ」
「ありがとうございます。マサキさんの
「ところで、さっきの魔王裁判は一体何が起こったんですか? 気が付いたら俺だけ、訳の分からない話になっていたんですが……」
「あれは三女の能力『ナイトメア』です」
「ナイトメア?」
「はい、
メルアの説明によると、三女が暗黒魔法の一つ『ナイトメア』を、俺とメルアに掛けて精神を操っていたそうだ。
俺には新しい記憶の消去を。
メルアには幻覚を見せていたそうだ。
三女は魔法の使い手で、特に暗黒魔法を得意としているのだと。しかし、危険な魔法が多いため使用は禁止されていた。
なぜそれを俺とメルアに使用した、三女よ?
そもそも名前はなんというのだ。
そこから尋ねようか。
「……三女さん。まず、名前はなんて言うのかな?」
「最初に名乗りましたが……」
「いや、君が三女だというのは分かったんだけど、名前はなんて言うの?」
「ですから、三女です」
「名前が?」
「名前が」
「へぇ~~~」
えっ? あれ……ずっとみんな三女、三女、って言ってたの名前だったの!?
俺だけ気が付かなかったパターン!?
いや、三女の名前が三女って、おかしいだろ、普通。
やばい、俺のぎこちない返事で場が
「……いい名前だね」
「どの辺りがですか? 私は親が適当に付けたとしか思えないこの
「えっ!? いや、分かり
「…………」
完全にスベッタ。今だよ、ナイトメア使うの今だよ、三女。
俺の心の声は届くことはなかった。
「とにかく、緊急時以外の暗黒魔法は禁止です。ステファニーさんも
『はい』
「ただ、姉上。今回は緊急時に入らないのですか?」
メルアは
三女が続けて話す。
「この者らが、姉上を処罰しようと
三女の言葉を最後まで聞かずに、メルアが口を開く。
「三女さん。あなたの気持ちはとても嬉しいです。でも、そのやり方は間違っています。憎しみは憎しみしか生みません。私が罰を受けるには、きっとそれなりの理由があるのでしょう。そしてあなたたちが助かるのなら、どのような罰でも私が全て受け入れます」
「姉上……」
「神様だ……いや、女神様だ。ここに女神様が
ちょっと待とうよ。
罰しようなんて思っていないよ。
多分、ナーチャだけだよ。そんなこと言っているの。
俺は、ずっと話し合いたいって言ってるのに。
三女の暗黒魔法は意思の
「あの~、我々はメルアさんを罰せようなんて思っていませんが……」
「嘘をつくな。お前たちがメルア様を倒しに来たことは
エルダーが身を乗り出して声を大にする。
「エルダー、マジで黙ろうか。てか、露見も何もお前が元メンバーだろうがっ!! ファスキンはナーチャの口塞いどいて」
「了解」
「改めて話をしませんか? 俺たちはメルアさん、そして姉妹さんたちにも危害を加えるつもりは一切ありません。ただ、成り行き上仕方なくこうなったというか……」
なんて説明していいのか言葉に
俺、意外とコミュ力ないな。
困っているとメルアが近寄り顔を寄せる
俺より頭一個分小さいメルアは、見上げるようにして目をじっと
たまに見れる
メルアは天使のような笑顔で答えてくれた。
「マサキさんは悪い人ではありません。ですから話をして参ります」
俺も、私も、と声が続くが、メルアがやんわりと遮る。
「二人だけで話がしたいのです。よろしいですね」
『はい、待ってます……』
「では、少し外に行きましょうか。マサキさん」
「はい!」
やっと話が出来る。
これできっと全てが解決するはずだ。
もし魔王が可愛い女の子ならどうする? ryunosuke @ryunosuke-r
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