White clover

@Sumire0826

第1話 whiteclover


中瀬 涼 十六歳。海と山に囲まれた自然が多いこの地で十六年間過ごしてきた。花が好きで消極的な女である。少しかわってることを言えば、恋愛対象が同性、女が好き、という事である。 「高校生活にもだいぶなれてきたね」 と、幼なじみの余師名 翼、邑 奏美 と話しながら歩いていた。奏美はしっかり者のお姉さん的存在である。一方余師名は男のくせにふわふわしてる。見た目も声も女の子っぽいのだ。男用の制服を着ているにもかかわらず、女の子に間違えられるのだ。

「僕またさっき女の子に間違われたんだよな」

何回聞いたフレーズだろう。返事はいつもこうだ

「そんな見た目のお前が悪い。可愛いのが悪い。」

まぁ、こんな会話ができるくらい平和で平凡な高校生活を送っていたのだ。

そう、平凡で当たり障りのない毎日を。

次の日、制服を身にまとい、いつものような朝であった。

涼の家の前で、いつもの3人と待ち合わせていた。いつも通りに奏美が来る。だが余師名が来ないのだ。

「中学のときも何回かあったよねぇ〜」

と、笑いながら待っていた。違和感をおぼえる。奏美はキツイわけではない。が、こんなに笑うだろうか...。等と考えながら余師名を待つ。だが遅すぎる。さすがに遅刻はまずいと思い、置いていくことにした。

いつもより五分遅めの登校だ。

いつもと変わらぬ風景。だがいつもとは違和感があるのだ。

「ね、ねぇ奏美?なんかいつもと違わないかな...。」

「ん?そうかな。そうでもないと思うよ。」

「そ、そっかぁ...」

ふと、余師名のことが頭によぎった。すると奏美が

「余師名、遅刻確定だね」

と笑いながら言った。私は適当に相槌をする。そしてなんともいえぬ違和感と闘いながら教室に足を運んだ。奏美と余師名は同じ二組だが、私だけクラスが五組なのだ。少し残念である。

「はい、席につきましょう。」

と、担任の鈴屋先生が言う。いつも髪を横に結んでいる。美人な先生だ。

「あ、あれ...?」

私はやっと朝からの奏美のとは違う違和感に気づいた。いつも先生は右に髪をしばっている。ただ、今日は左にしばっているのだ。偶然かもしれないと思い、周りをきょろきょろと見渡す。

「あ、愛梨...?」

愛梨は先週目を怪我したらしく、眼帯をしていた。右目を負傷したはずだ。

「右目は大丈夫なの..?今度は左目を怪我したの?大丈夫..?」

愛梨はこう言った。

「私、右目なんか怪我してないよ..元々左目を負傷してたじゃない。涼、大丈夫?顔色が..」

そんなはずない...誰か、このクラスは左利きの子はいたかな。あ、、確か学級委員長の由奈が左利きだったような、、。由奈の方を向いた

「えっ...!!?」

つい、大声をだしたしまった。由奈は平然と右で字を書いていたのだ。

「どうかしたかしら?中瀬さん」

「な、なんでもありません。ごめんなさい。」

今日、みんなどうしちゃったの.. あっ奏美、奏美はどうしてるだろうか。違和感に気づいているのだろうか。

「とりあえず、落ち着いて」

自分に言い聞かせた。顔を洗おう。

私はトイレに向かった。

「ふぅ...うわぁ、酷い顔」

朝から色々とあった。顔が疲れている。その時

「えっ、余師名!?」

女子トイレのはずだ。なんで余師名がいるのだろうか

「え、、」

振り返った。が、誰もいない。余師名じゃなく、人すらいない。何を見たのだろうか

「やっぱ疲れているのかなぁ」

今日は、早退させてもらおう。

「あ!奏美!」

「あ、涼じゃん。どうした?」

「ちょっと気分が悪いんだ。早退したいから先生に言っといてくれないかな」

「え、大丈夫なの?私も一緒に帰ろうか?」

「だ、大丈夫だよ!ごめんね、よろしく」

「了解。気をつけてね」

奏美はただ帰りたかっただけだろう。だが奏美はこんな冗談をいう人でもない。いったいどうしたのだろうか。ドッキリ?みんなにからかわれてる?でもどうして...?そんな自問自答を繰り返していたのであった。


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