補遺
当時「黒山羊の胎動(1)」まで書いて力尽きてから、はや十年前後……。
このたび補遺としてエピローグまでのあらすじを書き下ろしましたので下記に掲載します。
10話(2)炊事兵ユライダの日記
11話(3)従卒バロウンの回想
12話(4)大隊史編纂係マレクの記録
13話(5)副官シュヴェイクの物語
『ダゴン秘密教団』との共闘作戦が実行に移され、ライヒと第十一中隊も行動を開始する。ライヒの指揮が型にはまって絶好調で敵勢力を追い詰めていくが、そこへ第三勢力があらわれた。『ネオ・ケイオスシーカー』という邪神崇拝者殲滅組織の集団で、なんとヴィエが協力していた。これにより三勢力が入り乱れる激しい乱戦となり、敵組織のボスのもとへ辿り着いたのはヴィエとライヒほか数名である。敵組織のボスは最後の手段として黒い仔山羊と同化したうえシュブ=ニグラスの加護を得て、通常の黒い仔山羊の何倍もの力を持つスーパー・ダーク・ヤングに変貌した。圧倒的なパワーを誇るポスとの激闘でライヒが重傷を負う。その傷は魔術では治癒できないが、ロンメルの秘薬で回復した。そして駆け付けたシュヴェイクの謎の能力と、メサイアのイイーキルスの超兵器「極光輪」(ルリム=シャイコースの紅玉を用いた必殺武器にして切り札。弾数2。極地の彼方に存在する外宇宙の冷気を凝縮した、畏るべき白い光の塊を弾頭として発射する。絶大な威力を誇り、命中したものに蒼白き灼熱の凍死を与える。基本的に防ぐことは不可能で回避するしかない。効果範囲から遠ざかるほど威力は弱まる)の攻撃でようやく倒す。
14話 ヒュプノスの庭
ヴィエの魔術実験に誘われたライヒが彼女の屋敷に行くと、眠りの大帝ヒュプノスの影響化でとんでもない事態に。ドラえもん「家の中で迷子」みたいにヴィエとサイモン、ライヒとシュヴェイク、明石焼きと麻生香月がヒュプノスの夢から脱出するべく苦労しまくるギャグホラー回。のび太のパパのように最後に偶然救い主になる役どころはリアである。
15話 Unnamed fog
研究成果の披露という名目で司祭ヘルマイヤーに呼ばれたライヒは罠にはまり、監禁拘束される。ヘルマイヤーはゾン・メザマレックの石を用いて彼女の右眼の秘密を探り、それを自らのものにしようと画策していた。使い魔の舌で紫のショーツ越しに秘部をなめられるライヒは絶頂に達し、その瞬間を通してヘルマイヤーは目的を果たそうとする。しかしそこへナイ神父があらわれた。ヘルマイヤーは自らが『星の智慧派』の指導者となるためナイ神父を抹殺しようとするが、無名の霧と化したナイ神父に覆われてしまう。ライヒが気づいたとき、目の前には永劫の狂気に陥ったヘルマイヤーの姿があるだけだった。
16話 悲しくも儚き恋
その日、ライヒはカシュパーレクから告白された。自身も彼への恋心が芽生えていることを感じたライヒだが、両親がライヒの秘密を知ってしまい『星の智慧派』により始末され、カシュパーレクの身を案じたライヒは彼の告白を拒否するのだった。
17話 ダイラス・リーンの災厄
ついにヴィエとの決着をつけることになったライヒ。一方、シュヴェイクの精神に潜んでいたイスの偉大なる種族の精神たちが自分たちの未来のためライヒを抹殺しようとするが、メサイアとロンメルによって妨害され完全消滅。激闘を開始するヴィエとライヒ。ヴィエはウルタールの大神官アタルから得た呪文を行使する。しかしすべてはナイ神父がライヒの右眼の深淵に潜む悍ましき存在を覚醒世界に解き放つため仕組んだことだった。右眼から覚醒世界に抜け出た存在は放っておけば世界を滅ぼしてしまう。ヴィエは発狂寸前のライヒの意識を一時的に保たせ、エルダーサインとライヒを媒体にグリュ=ヴォへの交信を成功させる。そうして「星の戦士」たちが到来し、ダイラス・リーンの災厄を灰燼に帰した。
エピローグ
全てが終わった後、魔力と赤い右目を失って普通の人間となったライヒは恐怖で髪が白髪化し、うつろな意思の廃人となった。『星の智慧派』から捨てられたライヒは、メサイアの支援で養われていた。正常なライヒは〈夢の国〉でクラネスのもとに匿われ、覚醒世界に戻ることを拒んだ。カシュパーレクは廃人となったライヒのもとを毎日のように訪れた。メサイアとロンメルは恋心において自分たちの負けを清々しく認めてカシュパーレクの後押しをする。そうしてある日、彼の想いはシュヴェイクの残留思念を通じてライヒに届き、ライヒは覚醒世界で正気に戻る。ライヒとカシュパーレクは涙を流して抱き合うのだった。
歳月は流れ、十七歳になったライヒが、十九歳のカシュパーレクと幸せに青空の下を歩いている景色と共に物語は終わる。
星司祭ライヒ 皇帝栄ちゃん @emperorsakae
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