第6話 召喚師

封印の前に立つと、アルタは当然の如く僕の体の支配権を奪い取った。


「さて……始めるとするかの……」


アルタはさらに、封印の近くにより、呪文を唱え始めた。


「封印されし我が体よ、我の声に反応し、我の元へ舞い戻れ。アルドバーハラ!」


すると、封印されている場所が少しずつ、光り輝いてきた。


『まぶしっ!?』

「少しは耐えるのじゃて、わしはこれを解放すればあまり、力を使えぬ。ハッ!」


アルタがそう言うと、僕の体自身も光っていた。


『僕の体もなんか光輝いているんだけど、なんで?』

「……わしが魔力を放っておるからの……それとこれからさらに集中するから話しかけるではない。」

『分かった。』


僕はアルタに言われ、黙ることにした。

僕が黙ってから少しして、僕の体と封印された場所はさらに光り輝いていった。

そして、光が最高潮まで輝くと封印された場所が砕け散った。


「よし……できたのじゃ」


砕け散った場所から、アルタの体の一部のパーツが現れた。

ただのそのパーツは本来の体の一部とはいえない形だった。


『……これがアルタの体のパーツ?箱にしか見えないんだけど?』

「うむ、そうじゃ。まぁ……本来のわしの体の一部ってなるとグロテスクになるじゃろうから、それを思って別の形にしておるんじゃろな。」


アルタはそう言って、飛び出てきたそのパーツを手に取ると僕の体の中に入って行った。


『うわぁぁ!?何で僕の中に入ってくるの』

「そりゃそうじゃろ、隠すとしたらこの中じゃ、一応わしのパーツは生体じゃから魔法鞄には入らんしな。」

『そう……なんだ。』

「さて……次はこの封印にわしの体の一部の代わりになるものをいれんとな」

『あ、そうか……封印としての体裁をとらないとばれてしまうのか』

「うむ……まぁ、すでに勇者にはばれている可能性はあるがの」

『それじゃ、ダメじゃん』

「まぁ、そうじゃな……じゃが、新しく封印すると違和感は消えるじゃろ。多分」

『……そう。』


僕はただ、呆れてモノが言えなくなっていた。

そして、アルタは別のものを封印するためにあるものを取り出した。

それは、ここまで来るまでに倒した魔物の死骸の一部であった。


「さて、ここに用意したるわ、わしの魔力を盛大に持たせた魔物の死骸じゃこれをこうしてこうすると……」


そう言って、アルタは用意していた魔物の死骸をコンパクトにしていた。

それも、ちょうど手に収まるほどに……

それなりにグロ耐性を持たされた僕でも、見てるだけでおぞましく感じた。しかも、それを僕の体でされているということに……

まぁ、すぐに慣れるんだろうなぁとは思ってしまったけれど


「さて、これをここに入れるて……こうじゃな。ファァ……」


そして、アルタは体の一部が封印された場所を魔法で修繕し、そこに自身の魔力を浴びせた魔物の死骸を置いた。

置いた瞬間、僕に支配権が戻っていた。

つまり、後はやれってことですか、そうですか……はぁ


「アルタめ……最後までやってよ……」


僕はそう呟き、アルタが置いたコンパクトになった魔物の死骸にギルド長に貰った、封印の紙を張った。

張ると、その紙と台座が反応し、魔物の死骸が消え去った。


「うわぁ……消えた。これが封印されるってことかぁ」


呟いたが、アルタは反応しなかった。


「……まぁいいか。」


アルタの反応がなかったが、たまに良くあることだしまぁいいかと思い、その場から離れることにした。


□□□


僕は封印された場所から離れ山を降りていっていた。


「へぇ、封印してから全然変わってきたなぁ」


その山はさっきまでいた魔物達は現れなくなり、それに比例して、普通の動物が出てくるようになっていた。


「さっきまでは見なかった動物もいる……この森って本来は、こんな感じなんだなぁ」


その変わった景色を見るため、僕はゆっくりと山を降りて行っていた。

たまに魔物に襲われたりもしたが、封印前の魔物と違いそんなに、強くなかったので一発で蹴散らしていた。

そして、僕が山を降り始めて数時間が立ち、歩いていると


「やぁ、こんにちは……いや、こんばんはかな?」


あのギルド長の隣にいた秘書っぽい人が出てきた。

僕はいきなり出てきたその人に一応、警戒し聞いた。


「貴方は……?」

「あぁ、そうか、あの時は私名乗ってなかったね。……私はアリサ。アリサ=バイル。ちまたで言う、召喚師ってやつだね。」

「あ、どうも、僕は……」

「名乗らなくてもいいよ、恵君……」

「あ、そうかあの時名乗ってたか。」

「フフフ、そうだよ。」

「それで……なぜココに?」


その秘書っぽい人改めアリサさんは僕が名前を聞くと答えてくれた。そして、僕は普通に疑問に思ったことを聞いた。


「あぁ、それが本題だよ。ねぇ……君、私の召喚獣にならない?」

「えっ……?」


そのアリサさんの言葉に僕は疑問を持った。

だって、僕の今の種族が召喚獣って知っているのは……アルタだけだからだ。


「どういうことですか……それに僕は人ですよ?」

「フフフ……隠さなくてもいいわ、私の眼には人じゃないものと人であるものはちゃんと区別されて映るからね。」

「……そうですか。」

「じゃぁ、改めて聞くけれど……私の召喚獣にならない?はぐれなんでしょ。」


確かにアルタは召喚師には気をつけろと入っていたが……こんなにも早く見破られるとは思っていなかったため、僕は自分の中にいるアルタに問いかけたが……


『Zzz……』

「あ、なるほどさっきから反応ないと思ったら寝てたのか……」


普通に寝ていた。

多分、封印解除したり封印したりで力を使った所為だろうからしかたないと思い、僕は、否定することにした。

というかこう言わないと、アルタは100%怒るだろうし……


「……嫌です。それに……僕ははぐれじゃないですし」

「……そう、分かったわ。じゃぁ、こうするしかなくなるのよね。」


そう言って、アリサさんは一つの魔法陣を地面に書き出した。

そして、その魔法陣を書き終えると、一つ呪文を唱えた。

アリサさんが呪文唱え終わると魔法陣が光り輝き、その光が消えると魔法陣の上に、一匹の白い狼が現れた。


「それは?」

「この仔?この仔はリュルー私の召喚獣だよ。じゃぁ、リュルー……お願いね」

「グルゥゥゥ!」


僕はその白い狼のことを聞き、アリサさんは答えてくれたがその後に、その白い狼に何かをお願いしていた。

そして、その狼は肯き、僕に向かって走り出し、攻撃してきた。


「うわぁっ!?」


僕は、その最初の攻撃を避け驚いた。

なぜなら、いきなり攻撃してくるとは僕は思っていなかったからだ。


「どうしてですか!?」


僕は驚きながら、その白い狼に攻撃を命令していたアリサさんにそう聞いた。


「だって、頼んでも私のものにならないのなら……力ずくで無理やりに私のものになって貰わないとね。」


そうにっこりと笑って言った。


「えっ……なんで……」

「だって、人型の召喚獣なんて私にとって、とても珍しいものなんだもの……それに人語を介するなんて……さらに見たことないんだもの」


さらに加えるようにそう言った。

どうやら……アリサさんは、極度の召喚獣マニアとかの類らしい……

あってるかは、分からないけど……


「それじゃぁ、攻撃を再開するよ。死なない程度でお願いねリュルー」

「グルゥ!」


そして、アリサさんはその狼にまた命令をし、狼はそれに肯き、僕に攻撃を再開させてきた。

僕はそれを回避しつづけるしかなかった。

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僕は魔王の召喚獣 GN-Va @GN-Va

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