第2話【目覚め】

どのくらい眠っていたのだろうか。

静かに瞼を上げると、見慣れたトーキョーシティの街並みではなく、機械が置かれた灰色の大部屋だった。

アタマの内側に鈍い痛みがあるのを感じながら、視線を前に向ける。

そして僅か数メートル先には、背に美しい翼をもった黒髪蒼眼、不思議な宝石が嵌った頭帯飾りや首飾りをしている。

「……………………困惑中悪いんだけど、私は運命の神の代わりに貴方に謝りにきたの。貴方が前世…で死んだのは、運命の神アルトの不手際。

ちょっと今の貴方のこととこの世界について教えておくわ。

貴方はこの世界の最高の魔法使い、ルーヴァ-エルメラードによって《作られた》ホムンクルス、レイ-ラーヴァンテイン。だから魔法も、体術も、知識も大体あの魔法使い直伝なのが多数貴方の中に教え込まれてるわ。

だから大体あとは説明しなくても使えるはずよ。

 あとこの世界について。この世界【オーヴァーズレイド】は様々な国があって、勿論戦争してる国もあるわ。

そして貴方は世界最高の魔法使いが作ったホムンクルスってことで、すでに世界中に知られちゃってるの。貴方狙いのよこしまな連中は沢山いるわ。

  最後に、これは私からの贈り物。この刀は【琥珀眼の竜刀】って言って、貴方のイメージに追随できる能力を持つ。ああ、服とかはここに置いておくわ。

あ、名前言ってなかったわね、私はステラ。街の女神よ。

これからは私も貴方を護るわ。せめてもの償い…というか期待と好意ね」

          そう言って、少女は消えた。

(街の女神ステラ…彼女のおかげで大体状況が掴めた。まず、ここから出るか)

ステラの言った通り、魔法とやらの使い方もわかる。

小さな風が生まれ、容器の蓋を吹き飛ばす。

容器の外は、ぬるま湯のように暖かかった中とは違い、体感的に氷のように冷たかった。

街の女神ステラが置いて行った服や装飾品アクセサリー、そして【琥珀眼の竜刀】を手に取る。何故か不思議なほど馴染んだ。

銀髪で【氷炎魔眼ヘテロクロミア】を持つ、黒い狩人服に金の首飾りを付けた今の姿は、前世の自分が見たら苦笑しそうだ。

灰色の階段を眺め、仄かな光が差し込む穴が開いた天井を見やる。

「…………じゃあちょっと行ってみるか」



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黒闇の王と神霊族の竜刀 ルーヴィアリーナ @gyftduj1105

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