作者自身が「ぜったいに読まない方がいいです!」と書いてあるだけあり、万人受けする内容とはとても言えない。
主人公は終わっている。徹底的に、一部の隙も無く。
被害妄想、選民思想、論理のすり替え、詭弁、執着、陶酔、全否定。
論理的な思考など求めるべくもない。中途半端な知恵だけが付いた小賢しい猿と呼んでも差し支えない。
これだけ非難しようとも、決して主人公を表現したとは言えない。
そんな最低な人物が、のさばり、はびこり、ふんぞりかえる。そんな話である。
だが、それでも約四万文字を読ませるだけの力はある。
それは、自分の屁をついつい嗅ぎたくなる感覚に似ている。
自らの汚くて醜いところを、主人公から感じ取りたいが為だ。まったくとんだ自虐願望である。「マゾ野郎」のそしりは逃れらないかもしれない。