本編では灰慈の視点からの物語でしたが、こちらはそのほかのキャラクターからの視点が描かれています。
本編でもキャラの設定はしっかりつかむことができましたが、こちらを読んで更にハッキリとした人物像が見えるかと思います。
そして、どのキャラクターも主役級だなと思わせるところが、乙島さんの「魅せる力量」を感じさせてくれます。
個人的には、おじいちゃんのお話が一番好きでした。
おじいちゃんも、灰慈も、いっぱい悩んだんだね・・・。
どのお話もテンポよく進みますので一気に読めてしまうんですが、この世界観に浸りたくて敢えてゆっくりじっくり読みました^^
温かいキモチに触れたい人、是非本編をご覧になってからこちらも併せて読んでくださいね^^
おそらく『花咲か灰慈』を読んだ人の多くが、まだこちらの『小噺集』を読んでいないと思われる! しかし、それはとっても勿体ないことだ。
『花咲か灰慈』は、この『小噺集』の『ホワイトスノウ・カーネーション』をもって完璧に完結するのだ。
もちろん本編のみでも完結しているのだが、漫画原作コンテストの文字数のしばりと、一人称小説故、どうしても描き切れなかった雪乃サイドの視点にが、こちらでは捕捉されている。本編のスピンオフというよりは、カードの裏表、両A面のCDのような関係の作品だ。(両A面なんて古いかしら?)
とくに本編で言及の少なかった雪乃の父について多く書かれているので、彼女の父親がどのような人物で、どのような経緯をもって再び彼女の前に顔を出したのかということが詳しく解明される。親子の再生の物語として見ても十分に面白いと思う。
他の二編も同様に読みごたえがあるので、ぜひとも全三篇の番外を読んで『花咲か灰慈』の世界観を余すことなく楽しんでほしいと思う。言ってしまえば、本編と小噺集は紅白まんじゅうのようなもの――
紅と白、二つ食してこそなのだ!