おまけ

これは昔はやった企画ものに参加したときの作品集です。

(※小説ではありません&40前に力尽きました……)



その名も「文章修行家さんに40の短文描写お題」



(配布元へのリンクが貼れないため、サイト名と管理人様のお名前をご紹介させて頂きます。今はもう運営されていないようですが……)


▼サイト名:文章修行家さんに40の短文描写お題

▼管理人名:朝尽様



では、早速行ってみましょう!



■告白  【64文字】 

うなだれて謝るその男を私は思いきり睨み付けた。男の足下には男そっくりの子どもがズボンを掴んでいる。嘘つき、私は小さな声で呟いた。



■卒業  【65文字】

二十九歳の夏、俺は倒れるまで走り続けた芝に大の字で横になった。

頬を伝う涙を拭い、隣で転がっているパンダ模様のボールに別れを告げた。



■旅  【65文字】

一隻の旅が流れていく。波間をなぞるようにのんびり、ゆっくり。

三日前のその光景が僕の瞼に焼き付いている。あの船はどうしているだろう。



■電車  【50文字】

大量の人間をせっせと送り届ける箱船。文句一ついわずに奔る彼の願いは、

死の道具に選ばれないことだけだ。



■おとな  【64文字】

ほんのりと明るいランプが灯り、辺りはキセルの匂いに包まれていた。

雄弁を振るい合う紳士たち、談笑する淑女たち。そこは別世界だった。



■本  【65文字】

私は現実でない世界に降りたった。ある人と恋に落ちた。唐突な「死」という別れ。

流れる涙を拭い、私は目の前に広がっていた世界を閉じた。



■遊び  【62文字】

信じられない光景だった。通りの向こうをよく見知った顔が歩いている。

その隣にいるのは……。私の足は自然とそちらに向かっていた。



■初体験  【57文字】

露わになった姿が洗面所の鏡にふっと映った。すごい速さで高鳴る胸を押さえ、

私は静まりかえっているドアに手を伸ばした。



■芝居  【64文字】

「臭い演技をするな」、俺はそう呟いた。泣き濡れた目で俺を見上げる女の

口元が持ち上がる。ルージュの塗られた唇から含み笑いが漏れた。



■体   【55文字】

目の前にあるコレは彼だったものだ。

今はもう彼の残骸でしかないそれを抱きしめ誓う。私は犯人を絶対に許さない……!



■好き  【55文字】

最低と罵られようが構わない。何としても彼が欲しいのだ。

私の気持ちはまだ「好き」であって「愛」ではないのだから。



■今昔(いまむかし)   【56文字】

今は昔、遊郭に胡蝶太夫という妓女ありけり。歌舞などして遊客の傍らに侍りけり。なれど女としての誇りは胸に秘めつつ。



■欲  【65文字】

欲しい! あの引き締まった小振りな桃、艶めかしく輝く白い肌、

きゅっとくびれたウエストから上った先に待つなだらかな丘。あぁ、マネキン!



■贈り物  【56文字】

燃えるようなオレンジ色が、コバルトブルーの水に溶けていく。

その波間を手紙入りの小瓶が、気持ち良さそうに泳いでた。



以上。


お付き合い頂き、ありがとうございました。

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ほんのり恋愛短編集 彩崎わたる @ayasaki

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