訓練という名のリンチ(笑)

俺達はこれからの活動方針を決めた。

1・レベル上げ

2・情報収集

3・仲間集め

4・ギルドランク上げ


この4つを当面の目標にした。

レベル上げは絶対にしておかなければならない。ゴッドナーズのギルドはほとんどの人間がレベル50を超える猛者ばかりに対して、こちらはレベル30にも満たない。将来ぶつかる可能性は大だし、なるべく早くレベルを上げておきたい。


次に情報収集だ。これは俺達の家族を殺した奴らについての情報収集を主にしている。俺達がわかっているのは、八神の人間ということと見た目だけだ。これだけでは少なすぎるからこれも必須だ。

仲間集めはそこまで重要視していない。そもそも俺達兄弟は仲間ができるとは思ってなく、水川は自分でついてくると言ったから連れてきただけだ。しかも、『呪殺』なんてスキルを発現したから正式な復讐の仲間にしたんだ。にしても、魔夜のことが好きすぎじゃね?


最後にギルドランク上げだ。ギルドにはランクがあり、上から順にS・A・B・C・D・Eまである。俺達のギルドはもちろんEランクの最底辺だ。だが、この世界にはギルドが13しかないのにギルドランクなんて意味あるのか?と思うかもしれないが、正確にはギルドは無数にある。


なぜなら、神様が直々にとり仕切るギルドと人間がとり仕切るギルドがあるからだ。この人間がとり仕切るギルドは必ずどこかのギルドの傘下に入っている。

ちなみにゴッドナーズになるには神様がとり仕切るギルドの中でもトップクラスの実力があればなれる。この前の十一神など息子や娘などにもその名前はつけられる。

ギルドランクを上げるには、ランク戦に出なければならない。このランク戦は一ヶ月に1回あり、5対5の試合形式で行われる。5人以上いないギルドはこれに参加できないので、必然的に俺達もまだ無理だ。

このギルドランクが上がれば依頼も増えるし権力も手に入る。何よりダンジョンに入ることができるようになるのだ。


ダンジョンとは、この世界に『化け物』が現れてから出現した謎の迷宮である。ダンジョンには数多の『化け物』と希少なレアアイテムがある。中でも、魔武器や高位の魔導書はほとんどのギルドが狙っていて、毎回取り合いになっている。まぁ、ダンジョンに入れるのはBランク以上のギルドだけだが。


「以上がこれからやることだが、全員わかったか?」


俺の確認に全員が頷く。


「それじゃ、とりあえず明日は実践訓練でもするか」


「えっ?」


俺の提案に水川の顔が引き攣る。


「安心しろよ。死なない程度にしかしないから」


「その言い方は何よ!別にキツくても全然平気だしっ!むしろ余裕だしっ!」


水川がムキになる。


「わかった。俺ら3人で全力で特訓してやっからありがたく思え」


「全、力…(大汗)」


水川は全身から汗を流しながら、戦慄していた…。



翌日、


ドパパパパパパパンッッ


ドドドドドドドドドドッ


「イヤァァァァァァァァッッ‼︎‼︎‼︎‼︎」


水川の悲鳴が響きわたっていた。


場所はギルドホーム(ボロ小屋)から遠く離れた荒野だ。ここは昔から俺達の修行場所として使っている。

水川は俺の魔銃と魔夜の魔法必死に逃げ回っている。


「『ウォーターランス』」


魔夜が無数の水の槍を水川にぶつける。


「……!『水盾』!」


咄嗟に盾を作り出すが、いかんせん力の差がありすぎた。


「くぅぅぅ…、あっ!」


魔夜の『ウォーターランス』が盾を貫き、水川に迫る。もちろん寸止めなんて真似はしない。


「キャアアァァァッッ」


思い切り吹っ飛ぶ水川。そこに追い討ちをかける俺と極夜。


「逃げないと死ぬぞ〜」


ドパパパパパパパンッ


「『爆炎弾』」


俺は魔銃を逃げ道を塞ぐように連発し、極夜は特大の炎を水川に放つ。この『爆炎弾』は何かに触れると爆発する実に使われたくないものである。ちなみにこれは魔法ではなく炎帝のスキルで生み出した炎だ。


さすがに回避は無理と判断した水川は魔法で防ごうとする。


「こんのぉぉっ!『水竜』‼︎」


水川によって生み出された『水竜』が『爆炎弾』に向かって突進する。


ドゴォォォォンッ


水川の『水竜』と極夜の『爆炎弾』が消滅する。水川は極夜の『爆炎弾』を防ぎきったようだ。


「や…、やった…(パタンッ)」


水川はその場で倒れる。


「「水川(さん)⁉︎」」


見物していたハデスとタナトスが急いで駆け寄る。水川の身体はあちこちに擦り傷があるが重傷はおってないようだ。


「ん〜、水川はここでリタイアだな」


「そうね。初日にしては上出来じゃないかしら?」


「相性とはいえ、極夜の『爆炎弾』も防いだしな」


まぁ、『爆炎弾』は牽制に使ったりするものだから、正直微妙なところだ。


「ハッ、次はぶち抜くし」


極夜は少し不満げに言い返した。


「それじゃあ、私達の訓練を始めましょうか」


「誰からやる?」


魔夜は少し考える。


「白夜と極夜でやってて。私は水川さんを治療しておくから」


確かに魔夜にしかできないことだ。……、魔夜がいなかったら俺達ヤバくね?


「やんぞ白夜〜」


極夜が早くしろと急かす。


「そんじゃやるか」


俺と極夜が臨戦態勢に入ると、魔夜がルールをつけた。


「負けたら皿洗い」


「「全力でいくぞ‼︎」」


久々に全力で戦闘することになりそうだ。

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復讐の夜 マキナ @yuki1027

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