俺の過去

俺はいつからこうやって告白されてきたのか、良く覚えていない。ただ、昔から周りには女の子みたいな男が居たのは覚えてる。



「ゆうきくんっ、しょうとおままごとしよっ!」



「えー、おれ、そとであそびたい!」



「う…そうだよね、しょうとはあそびたくないよねっ…」



「ち、ちがう!あそびたくないわけじゃなくて…!」



「じゃあ、しょうとおままごと、してくれる?」



「う、うん…」



「やったぁ!じゃあゆうきくんは、パパね!しょうがママ!」




幼稚園の時には既に居たな…この子は確か…柳田翔太やなぎだしょうた君だ。髪の毛もまつげも長くて他の奴らからはからかわれてた所を俺が助けたんだよな。それからずっと隣に居た。




次は小学生だな




「佑樹ー!サッカーしようぜー」



「お、するー!お前は?」



「ゆうくんがするなら僕もするっ!」



「ん、じゃあ行こうぜ」






…居るな、コイツは翔太みたいに髪の毛は長くなかったし普通の格好をしてたけど親の趣味で休日はロリータを着させられてた。俺はたまたまそれを見てしまって、似合ってたから似合ってるって言ったら懐かれた。




そして俺の記憶の中で一番覚えてるのが、小学六年生の時のアイツだ。



白神日向しらかみひなた、コイツはまだ純粋だった俺にとんでもない記憶を植え付けてくれた。この時の俺は少し恥じらいも出てきていて、告白されるとかなり酷く振っていた。


この時も白神に告白されて、断ったんだ。



「男に告白するとか、気持ち悪い」



そう言ったら白神は泣きそうな顔をした、いきがっていてもまだ子どもだった俺はそれに驚いて少し逃げてしまったのだ。それを見た白神はズボンのポケットから何かを取り出したのだ。





カッターだった、そういえば今日の図工の時間の時に先生が一つ足りないと言っていた気がする。白神は刃をゆっくり出してそのまま自らの腕を切り付けた。



目が離せなかった、ゆっくりゆっくりと刃を横に滑らせる白神から。刃が通った後はもちろん肉が切られてピンク色の肉と赤い血が見えている。切り終わった白神はそのまま俺に近付いてきた。



「ねぇ、松下くん。見て、ちゃんと見て」



「な、んで、そんな事するんだよ…」



「松下くんが僕と付き合ってくれないからだよ、僕と付き合う事が松下くんの幸せなんだから」



目の前にまで近付いてきた白神は腕から垂れている血を掬って俺の口の中に突っ込んできたのだ。初めて舐めた他人の血はやっぱり鉄の味しかしなかったけどな。



「ほら、美味しいでしょ?僕の血はね、お母さんも美味しいって言って褒めてくれるんだよ。甘いでしょ?美味しいでしょ?もっと舐めていいんだよ?…ほら、口開けて?」




ここで限界が来た俺は叫びながら職員室まで走った、その後ろからは白神が追い掛けて来ているのが分かった。ここで捕まったら今度は俺が切られると思って必死に走って職員室に入った。



先生達は真っ青になりながらも白神を抑えてくれた。その間にお互いの家に連絡、一応警察にも電話していた。

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ネコはネコでも猫じゃない 朝蒼 @Asa_Ao

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