ネコはネコでも猫じゃない

朝蒼

突然の告白

「あの、ずっと前から好きでした!よ、良かったら俺と付き合ってくださいっ」



目の前の男が真っ直ぐにこちらを見ながら言った



「…ごめん、なさい」



その瞬間、男の手が俺の腕を掴んだ。かなり力を入れているらしく、ギチギチと音を立てている



「ひっ…!や、やめて!」



「なんで、どうして…おれ、ずっとみつめてるのに、初めて、好きになったから!初めて自分から愛せる人だと思ったから!手を出さずにこうやって、告白してるのにっ!なんで!?なぁ、俺が男だからか!?アンタと同じ、男だからか!?」



「そう、だよっ!俺は、普通に女の子が好きなんだっ!いくら君が女の子みたいな顔してても、女の子じゃないんだよ!」



「だったら!俺、女になるから!性転換手術する、から、お願い、おれと、つきあってよぉ…」



俺の腕を掴んだままずるずると座り込んでしまった彼と目線を合わせるようにしゃがんだ



「あのな、お前はそんだけ顔が整ってるんだ。俺みたいに普通なヤツよりもっと良い奴が見つかるよ、な?」



「いや…っ、アンタが、アンタだけが良いんだ…!俺には、アンタしかいないんだよ…!」



「そんなこと言われてもなぁ…」





俺は松下佑樹まつしたゆうき、普通の男子高校生だ。勉強も運動もほどほど、唯一自慢出来るのはこの身長くらいだ。


高校三年生になって始業式が終わり、帰ろうかと思って立ち上がると同じクラスの熊坂くまさかに呼び止められ、そのまま校舎裏に連れて行かれ先程の告白だ。



俺は昔から何故か男に好かれるようで、今までもこうやつわて告白してきた奴は居た。どいつも男とは思えないくらい可愛い顔をしていたり綺麗な顔をしていた。たまに俺より背が高くて筋肉も付いてる奴も居たけどな。




「…泣いちゃってごめんな。でも俺諦めないから、絶対に、振り向かせてみせるから」




「…気にすんな、出来れば諦めてくれ」




「それだけは絶対に嫌だ!俺を受けとめて認めてくれるのはアンタだけなんだから…」




「あのな、そうやって若い内から決め付けてたら何も見えなくなっちまうぞ?いつかお前を心から愛して求めてくれる人が見つかるから、な?」




「そこだよ、俺がアンタのこと好きになった理由。相手の事を考えてくれてるところ。そうやって優しくされたら、もっと諦められなくなる…!」




…あー、墓穴掘った

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