第3話~途中の終わり~

「ぐぬぬぬー」

 沫夜あわやは福引を前に、唸っていた。「きたきた、今だよ、いまぁー!」

「いま、いまか、よし!」

 沫夜の声に合わせて瑠希亜るきあがガラガラの取っ手を回した。

 吐き出される玉を、法被を着た店員が覗き込む。

「はい五等、ポケットティッシュです」

「はいぃー?」

 瑠希亜と沫夜は揃って嘆きの言葉を吐き出す。

「どーゆーことだよ、沫夜ぁ!」

「こっちのセリフだよ、あれだよ、遅かったんだよ、瑠希亜が、いま、って言ったら、いま、なんだよ。それが何? いま、いまか、よし」沫夜が瑠希亜の真似をする。「って、余計なこと言ってたから遅れちゃったんだよー、もう、せっかく僕が魔法で運勢を読み取ったのにー」

「かー、ったく、あーいえばこーゆー、これだからおこちゃまは、ほれプレゼントふぉーゆー」

 景品のポケットティッシュを沫夜に投げる瑠希亜。

「おこちゃまいうほーがおこちゃまなんですぅー」

ちゃっかりティッシュをパーカーのポケットに入れる沫夜だった。



 そんな二人の狂騒を、ビルの縁に腰掛けて見下ろす一人の人物がいた。もみあげと一体になった顎鬚を撫で付け、面白そうに下界を見下ろすその人物こそ、二人が捜し求めている、鬼譲りの白煙、絵門定経えもんさだけいその人である。

「さぁて、と。お二人さんと会う日も、そう遠くないかもなー、どうしよう、散髪といた方がいい? うーん、どうだろう。まぁまだ鬼分が向かねーわな……」

一人でぶつくさとつぶやく。

 改めて二人、散地瑠希亜と、満木沫夜を見下ろす絵門定経。

「鬼さん、こちら、手の鳴る方へ」

 パンパン、と二拍手して、一礼すると、その姿は煙のように消えてなくなった。

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オーガゲイン~鬼と魔法少女と鬼未満~ @hakumushin

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