第6話作戦開始

勇悟、咲夜、甲子、由紀の4名が獣人族対波動族の抗争を阻止するために掲げた作戦は主に3つ。


1.同士を集める


2.同士による集団ボイコット及びデモ行進


3.幸福論を大人より早く見つける


である。


「同士はどうやって集めるんだ?」咲夜が発案者である香月 由紀に問う。


「学校の裏サイトを使う」と、返答した。


「裏サイトってなんだよ?」勇悟は”裏"という言葉にあられもないサイトのことを想像したがどうやら違うらしい。今度は吉田が答えた。


「僕らが通うこの学校にいる僕らのような"異能力者"が集うサイトのことだ。」


高校生にもなって2人で荒唐無稽なものいいをするのはいかがなものかと、勇悟は半ば呆れた目で2人の顔を見る。しかし、彼らの顔は真剣そのものであった。


「裏サイトは事実存在します。校内の異能力を持った生徒が匿名で投稿できる掲示板、その名も"異能組"」と、香月がきっぱりと言った。


勇悟と咲夜は2人の話を聞くことに徹した。信じられなければ実際に見てみるといいと吉田がいうので教室からパソコン室へと移動した。


ー異能組・神奈川○○高校ー


掲示板 誰でもご自由にどうぞ


裏サイトは実在した。香月は

『仲間を集めています。反戦を誓い、共に平和の旗を掲げ、和睦を結ぶ行進をしませんか』

とタイトルを書き込み、具体的な案を提示した。


うまくいくとは思えなかったが水面下で大人達の裏をかき行動し争いを止める秘密結社のような活動が勇悟にとって魅力的であり、なにより香月と今以上に近づけるチャンスだと思い協力を約束した。


「頑張ろうね。犬神くん」香月は微笑んだ。


「うん」



今、自分はどんな顔をしているのだろう。想像できない。想像したくなどない。


家に帰ると慌ただしい様子で家臣の者が集まっていた。父から今日の稽古は中止だと聞き。飛び跳ねるように喜んだ。





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狼狽と幸福 神田 稔 @k_m103

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