第10話 これからの話

 彼女が居なくなってからもうどれ位たったのだろう。僕はあの時のことが夢だったのでは無いかと時々思う。そして時間が経つに連れてその思いは増していった。だから、こうして思い出を文章で綴ろうと思ったんだ。忘れないって、待ってるって約束したから。

 僕は夏が嫌いだった。良い思い出があまりなかったし、長い一日をただ繰り返すだけの毎日が嫌だったから。でも、君に出会えた季節だからこれからは楽しく過ごせそうだよ。君との思い出が沢山詰まった季節になったから。


 葵との思い出が綴られたノートには一枚の紙が丁寧に、大事そうに挟まれている。その紙には、彼女の字で一言「ありがとう」と書かれていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

夏なんて大嫌いだ 一条 藍 @Airu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ