第2話長谷川桐人 きりと。

 私を好きだという男の子を紹介しよう。

 まずは桐人きりと。くん。

 私は未だに、彼を呼び捨てにすることができないでいる。

 彼は、確か最初から私のことを呼び捨てたけれど。


 桐人は、分かりやすくいえば優等生だ。

 クラス委員には必ず推薦される。けど、実際に就任したことは1度もなかった。

 面倒なことがきらいな質なのだ。


 黒髪でそういうタイプには珍しくおでこのみえる髪型。

 頭髪検査でも、まずひっかからない。

 ヘッドホンをしてウォークマンを片手に机につっぷしたまんま1日を終える優等生。

 ほら、珍しいでしょう?

 不思議なのだ。

口数の多い方でもなく、かといって容姿が抜きんでて派手とかでもない。

 けれど、彼の背格好と突っ伏してぼさぼさした頭をみると、

私はどうしてかどうしようもなく安心してしまう。

 いつも見かける野良猫を見つけたような気持ち。といえば近いだろうか。

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優染 藍のこと。 @motocurum

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