【5】新しい、生活。

 「ところで、月草。今日から俺と暮らさないか?」


突然、永からそんなことを言われた。


「へ?何を言って・・・」


私は相当マヌケな顔をしていたんだろう。

永はそんな私をみてクスッと笑った後、


「火事でアパート全焼して何にも残ってないぞ?」


そう言いながら永は寝室にある大きなテレビをつける。

大きいテレビだななんて思いながらテレビのニュースを見た。


『昨夜、○○市で火災がありました。出火元は中華料理店で隣のアパートも全焼しました。けが人などはいませんでした。』


私のバイト先が出火元?

じゃあ、住む場所も働く場所もなくしたんだ。

これからどうやって暮らしていけば・・・。


「おい、そんな難しい顔をするな。ここに住めばいいだけだろ?」


「で、でも!」


一緒に住むなんて考えられない!


「じゃあ、この先どこに住むつもりだ?何にも残ってないんだろ?」


永の言うことはその通りで。

私はうつむいた。


「・・・次、住むところが見つかるまで・・・いいですか?」


そう言うと永はにこりと微笑んで


「ここにいる条件は次住む場所なんて考えないことかな。」


なんて真っ黒なほほえみに変わった。

でも、住む当ても、何もない私はうなずくしかなかった。


「でも!お願いがあります!家事全般はやらせてもらえますか?」


ただで住ませてもらうなんてできない。


「俺も手伝えるときは手伝うけど、じゃあお願いしようかな。」


そうして私は永とくらすことになった。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

再び、同居生活、始まります。 saki @ciel_sasasa

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ