6 シュゼとレイナ
6 シュゼとレイナ
自分は今までどこにいたのか?
それを考えることが多くなる。
千年を超え、今また数百年を経た自分だ。
しかし、今回は確信がある。
俺は、ついに因果を乗り越えた。
「どうしたの、シュゼ?」
横からかけられる声に振り向く。レイナが怪訝そうな顔をしている。
窓の向こうでは青い景色が見えた。巨大な白い球体。しかし、かつてその球体は目の覚めるようなコバルトブルーに、緑を配色した美しい惑星だったのだ。今はまるで羽化を待つ蛹のようである。
「……なんでもない。いや、あるけど」
視線を前に戻して、シュゼは浅い息をついた。慣れ親しんだ宿命が、ここに終わろうとしているのだ。
シュゼとレイナの目の前――二〇メートルのポッドには灰色の巨人が立っている。
「俺たちの役割はここで終わるんだな……」
「そうだね……雪砂は地球を浄化して、私たち人類は火星に居住地を移した。あとはこのリベリオンⅩを過去に転送するだけ……」
今、指先を置いたエンターキーを押すだけで、作業は完了する。
そして、千数百年前のシュンヤとレイカが永遠とも思える長い旅を始めるのだ。
もちろん、押すことにためらいはない。
少しだけ、余韻に浸りたいだけだった。
「やるか」
「うん」
指で押すと、リベリオンⅩは白い雪砂に次元力の光を反射させ、虹色に瞬いていった。
了。
反抗期ロボット リベリオンⅩ zankich @mosso_zankich
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