非常に知的な文章であり、意図的なものなのかどうか分からないが「地獄」を表現するのに「ハリウッドのような」「火星のような」といった現代的な言葉を選んでいる点にこの作者様の才能を感じる。
そういった言葉選びによって「文章の味わい」が増しているのである。
「文章の味わい」こそが小説というものの「醍醐味」であるということを再認識させられる作品だ。
中盤、「現代を生きる青年」と「地獄の者たち」の物語がどのように交錯していくんだろうとやや不安に感じるが、ああ成程そういうことかという展開をする。
この続編をまだ読んでいないが、「現代を生きる青年」がなぜ「地獄」を見る必然性があったのか、が描かれていると物語としての完成度がより上がるだろう。
とても魅力的な、お薦めの作品です。ぜひ読んで下さい。