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――人は我らと違ってずっと儚い。全く違う時の流れを刻むのだ。故に必ず訪れるであろう別れが親しくなればなるほど辛いものとなろう。
私が祖父から言われたことの意味を理解したのはその時だった。
私はこの時初めて泣いた。この世に生を受けてから数十年、決して泣くことなどなかった私が――。今にして思えば彼との出会いが孤独の中を生きてきた私の運命を大きく変えた瞬間だった。
祖父が言うように、たとえ別れが辛かったとしても、人と共存することはそんなに悪いものではないと今なら思える。
あれ程まで心から信頼できる友に出会えたことは私にとっての至宝だ。
彼と過ごした日々は数百年経った今、どんなに景色が変わったとしても、私の心の中で決して色褪せることなくあの時のまま映し出されているのだから。
ああ懐かしいあの夏の思い出よ。
夏夕空 川 @kkishinn
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