第5話

 その日の夜。


いつも通りに静まり返った学校。


集まった四人はそっと102教室を覗く。


「何か、見てるだけじゃつまらなくない? 」


そう言ったのは言い出しっぺの奈美だ。


だが、俺はどうも乗り気にならない。


多分あの話を聞いてしまったからだろう。


あいにく、教室の鍵は閉まっていた。


うっすら月明かりが差し込む教室を見ていると、あることに気がついた。


「なぁ、教卓が見えなくないか? 」


「撤去されてるんじゃね? 」


「じゃぁ、その教卓はどこにあるんだよ」


「さぁ? 捨てられたとか? 」


わざわざそんなことをする必要があるだろうか。


確かに物置にするには少々邪魔になるかもしれない。


だが、人が亡くなった場所だ。


動かしでもしたら祟りや呪いが出てきてもおかしくない。


ただ、教室内は薄暗く、物が散乱していて真実を知ることはできない。


ここで、俺は皆に今日後輩から聞いた話をすることにした。


「ここで亡くなったのは1年生で______」


皆静かに聞いていたが、話終わる頃には少し青ざめていた。


これは効きすぎたか。


「明日も......来る? 」


そっと奈美が皆に尋ねる。


「来る」


「僕も」


「俺も、気になることあるし」


だが、当の本人は涙目で来ない、と言った。


どうやら本当に怖いらしい。


無理に連れてくる必要も感じないため、止めはしなかった。


が、この選択が間違っていることを、俺たちは翌日知ることになる。

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話を聞いて @Chokominto

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