第4話悲惨
間宮の通夜、葬儀が終わった後、一緒にいた奈美が声をかけてきた。
今日は少し明るい髪を後ろで一つにまとめている。
こいつは以前、あの教室にも行っている。
「明日、102に行ってみない? 」
「さすがに不謹慎だろ」
「そうなんだけど......気になることがあって」
奈美の”気になること”の意味はよく分からない。
だが、実際引っかかることはある。
仕方がないから行くことにする。
「誰か連れてこうか? 」
「俺は構わないけど」
少人数の方が本当はやりやすいのだが。
一人や二人増えたところで大差ない。
結局、行くのは四人となった。
____________________
翌日、俺は聞き込みに行くことにした。
よくよく考えれば女子生徒が亡くなって一ヶ月。
その生徒の名前も知らなければ学年、死因も知らないままだった。
同学年ではないため、部活の先輩、後輩に聞いてみる。
すると、後輩の方から情報が得られた。
「安達柚鈴(あだち-ゆず)っていう子で、クラスは1組ですね」
「その子、どうして亡くなったか分かるか? 」
「ざっくり言えば、脱水、低血糖症ですね」
いや、ざっくりすぎだ。
そう勢いよく突っ込みたいのを我慢して、質問を重ねる。
「ということは、亡くなったのは学校外? 」
「いえ、教室の中です」
どうもおかしい。
教室内だったら誰かが気付くはず。
誰かが助けるはず。
なのに亡くなってしまった。
だとすると考えられることは二つ。
倒れた彼女を誰も見て見ぬ振りをした。
もしくは、誰かがそういう状況に陥るように仕向けた。
「あの子、少食らしくて、普段から血糖を摂っていなかった分早かったのかもしれませんね」
「ちなみに、教室のどこで亡くなってたか分かるか? 」
「教卓の中です」
これは、いじめがあったということを暗示しているようなものだ。
とても哀れに思えてくる。
その思いで俺は102に向かうことになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます