世界観は単なるファンタジーとかではなくて、
(あまりこういう感じの作品に触れたことがないので例えとして正しいのかは別にして)どちらかと言えば昔の鳥山明的なワールドのように感じた。
初見で面喰らってしまうのは、おそらく"キャラクター"の捉え方の単位が最近の一般的な小説とは違ってるからなのでは無いでしょうか。
人間、竜、魔女。
ここまで聞くとごく普通のファンタジーと変わりませんが、
そこに加えて塔、飛行機、軍、扉、等々、無機物から群体までがそれぞれ一個のキャラクターであるかのように並列されているのは童話的ですらあります。
価値基準の横線を引いているので、揺り戻しの様なものが見受けられるのですが、
その辺のバランス感覚が読んでて今後も楽しみでもあります。
おとぎ話をイメージした作風は古風であり、新時代的でもあります
それはびっくり、魔法の言葉で紡いだ糸は
あるときはあやとりで作ったような立体的な絵面を彷彿とさせ
あるときは紙芝居風でもあり、登場人物を魔法の糸で操る人形劇のようでもあり、読者にふわふわ雲をつかませぬようすすんでいきます。
そのふわふわ雲は感性のたまもので綿菓子のように甘そうなのですが、
原作募集の企画としては…NGかと思います。
最大の問題はこの作品を漫画「原作」とした場合、漫画化できる作家さんがいるかどうか、採用しようとする編集さんがいるかどうか。
読んだ読者が理解してくれるだろうか…
特別そこを意識して書かれ投稿されている方は少ないかもしれませんが、
この作品は他にないその特殊性ゆえに”その部分を深く考えて作っていかなければいけない作品”だと思えました。
絵本的描写を望むなら文字数が多すぎるのでもっと、センテンスを短く1コマ1コマ大きくとれるように絞り込むべきでしょうし
人形劇風にストーリーを流すイメージでいるならイラスト付きおはなしの域を超えるのは難しいと思えるので、そこを補う工夫が必要になると思います。
とはいいつつ個性という意味ではいうに及ばず発意と拡張性でも他の作品群に比べはるかに可能性を秘めていると思います。
次なる作品を期待しております。