史実の伊達政宗にも妹が少なくとも2人いるそうです(早世した子供は記録に残らない場合があるから、もっといたかも?)。
この作品は、実在した政宗と同腹の妹2人が主人公。
しかし、姉の照姫のモデルとなった史実の千子姫は名前だけ分かっていていつ死んだのか不明(恐らく、ある程度成長した年齢で死去したから名前が残っている)、妹の月姫のモデルとなった史実の姫にいたっては名前すら分かっていない(たぶん、幼いうちに早世した?)……。
そんな記録がほぼゼロな人物に焦点をあてて独自の解釈で物語を展開していこうと考えた作者さんの着眼点はとても面白く、素晴らしいと思います。
私は伊達政宗の生涯を政宗の妹たちの視点で追体験していくストーリーだと思っていたのですが、終盤にまさかの展開で正直驚きました。そして、政宗の妹たちがなぜ歴史に名前を残さなかったのかという真相も語られており、歴史ミステリー的な楽しみ方もできました。
当時の伊達家を取り巻く諸勢力の描写も分かりやすくまとまっていて、合戦シーンも鬼庭左月の壮絶な最期など戦国好きなら(大河ドラマ『独眼竜政宗』が好きな人は特に)楽しめる物語となっています。
ただ、月姫が忍びの棟梁としての本領を発揮して活躍するのは、おそらく最終話の回想シーンで語られた小田原以降の様々な政争、秀吉や家康との駆け引きなのではと個人的に思っていて、小田原参陣が実質的なクライマックスになったのは月姫派だった自分としては個人的にちょっぴり寂しかったり……(^-^)
まあ、ヒロインがだんだん年をとっていくのも色々と複雑な心境なので、ここらへんは難しいですよね(汗)
楽しい戦国小説、ありがとうございました!
公開終了(8月末)までに読み終えることができてよかった!