第2話 互助会騒動
お暑うございます。まさりんです。
互助会騒動というのは、実につまらない話だ。はてなには「ブックマーク」というサービスが存在する。ウェブ上の気になったページを、どこでもブックマークする(ブックマークとは本のしおりを指す)サービスだ。ブックマーク数が多くなると、そのページは人気があると判断され、SNSなどで拡散される。そうすると、さらに読む人が増える。
ルールとして意図的に集団を形成するというのははてなは許していない。だが現実的なことを言えば、ツイッターでも「徒党を組みませんか」という打診は結構来る。私も一つ、そういうアカウントをフォローして、フォロワーにどんな連中が来るのかをウォッチしている。その報告は別にしよう。その打診は、ツイッターのDMなどでやってくるのだが放置してある。
このブックマークをしあうという行為を口裏を合わせてやっているのではないか、と思われる人々を「互助会」と呼んでいるのであるが、真偽が混じっている。それに意味がかなり広がって、「つまらないブログ」をこう呼んでいる場合もある。
そしてブックマークされた人気記事上に、「子育てブログ」などはてなブログのつまらない、と一部のノイジーマイノリティが判断する記事が載るようになったことがことの発端である。その人気のあるブロガーのIDをさらしたリストを作成した不心得者が出現したことが今回の事件である。
基本的に「手斧を投げ合う」という文化のあるはてなブログ。勘違いも多い。人に手斧を投げられるというのはかなりおおざっぱな人間だ。結局日本文化の根底にはヤンキー文化があるという証左だろう。
互助会の問題、そしてはてなの文化を理解していないと、この話の筋は分からないだろうから、少し補足した。(以下口語的に書きたかったから、「ですます」や「である」などがぐちゃぐちゃに混じる。ご了承いただきたい)
この記事はブログに書いたものだが、いったん、タイトルだけ書いて、下書きに格納しました。そのまま出さないようにしようと思ったのですが、やっぱり書いて出そう。この泡沫ブログのこと、あまりそれが影響を与えないと思うという甘えと同時に、書いてしまった後出さないというのもなんとなくいやだよね。それに、書くという行為は気持ちを精算する上で必要だと思うので。
いつものごとく、昨日までは怒っていたのだけれども、いまはだいぶ落ち着いた。なんとなくむなしさだけ残して。
このような騒動が起こると、そして今もそうなんだけど、他の人のブログを読んでブックマークを付けるという行為が非常に罪深い行為なのではないかと思えてしまって仕方がないんだ。以前は逆に「好き勝手やるぜ」といわんばかりにブックマークを付けていたけど、今は止まってしまう。だって、迷惑掛けたくないじゃん。ああ、明確にリストになっちゃうとね。リストには自分もブックマークしていた人の名前が入ってる。自分がリストに入っていなくても、「to」だかなんだかを見れば、このブログのアドレスも入ってるわけで。
その人を恨んでいるということはない。逆だよね。迷惑掛けているんじゃないかと思って。
ブックマーカーといわれる人たちは、そんなに内容を吟味してブックマークしているのだろうか。ブックマークされた一覧がトップページに出るでしょ。前書いたけど、ストレートニュースが中心であって、それほど意義深い内容、興味深い内容だけが並んでいる感じがしないんだけどね。
正直に言うと、ブックマーカーといわれる人たちの感覚が、理屈ではなく体感として理解できないです。一体何がしたいのか。どう考えても、ネットの潮流にも逆らっているし、つっぱれば「はてな」という会社にも迷惑がかかるんじゃないかと思う。「質が低い記事が並ぶ方がよっぽど迷惑がかかる」と言いたいでしょ。でもならんでるの、ほとんどストレートニュースじゃない。それは他のキュレーションアプリで十分だよ。はてなブログの記事が質が高いと言いたいわけじゃない。どっちもどっちだよ、と言いたいのです。
前書いたけど、要するに需要が違うんだよね。ここは考えどころで、「はてな」という企業としては、ブログ、ブックマーク、などを複合的に作用させたいのだと思う。なんていうか、テーマパーク的なものにしたい。だから、ブログを切り離さない。だって、ブックマークじゃなくて、コメント欄が盛り上がっているブログを「流行りブログ」として持ち上げるシステムにすりゃいいだけなんだから。それに原理的「互助会」(ビジネスとして事前に示し合わせてブックマークを付け合う人々)も含めて、広義「互助会」(結果として仲良しになって、友だちにコメントする行為が心狭い人々に互助会的な活動として認識されてしまった人々)も、はてなにとってはウェルカムな存在なんだと思う。だって、ブログで簡単に金儲けができたら(原理的互助会)、そりゃすげえって。人集まるって。だから、それに近い機能である、グループがある。
だいたい、最近出てきたように言われているけど、互助会って、ちょっと前からあるよね。はてなを検索しても、二〇一四年以前まで「互助会問題」って遡らないのだと思うけど、それに近いものはもっと前に存在していた。伝統的「互助会」としようか。ブログ村とか、大手のものじゃないよ。なんでストレートにそっちを叩かないのでしょうね。結局叩いているのもビビりだから解決しない。といっても、そこも鈍くさいヤツ以外は逃げたみたいだけどね。そこだって広義互助会だ。
広義互助会までを含む互助会を叩いている人たちって、塊にしか見えないんだよね。個々の人格が見えない。なんとなく2ちゃんねるに似ている。「2ちゃんねるで活動している誰々」というイメージはない。昔は「ネットの意見」と言えば、「2ちゃんねる」を指していた。でも、それは特定の誰かを指しているのではなく、2ちゃんねるという塊をさしていた。
ブックマーカーもそうだ。己を「村人」と言い、ツイッターをやっている人々を「ツイッター民」などと呼ぶ。しかし、ツイッターをやっている人はいろいろなので、ツイッターで括るのは困難だ。今は、「ネットの意見」と言えば、ツイッターが中心。意見を出すときにも、ツイートが並ぶ。つまり、匿名ではあってもその意見を誰が出したのかが明白だ。是も非もならぶ。塊ではなく。
この個人の人格を吸いきって、各々の自我を否定している塊が怖い。
そして、塊は脊髄反射的に、「互助会」っていうワードに反応する。今回もそうだ。基本的に直接人を叩くという行為をしたくないので、リンクまでは貼らないが。作成した人のブログまで行って、他の記事をさらっとだが見る。自分の子ども、赤ちゃんの写真まで出している。そうすれば、人気が上がると思ったのだろう。そうでなきゃ、こんないいかげんなリストを公開する訳がない。なんだか、パスタをソーセージに刺してゆでようという画像もあった。見る気になれない。
どうでした? 人気が出た感想は? いいもんでしょ。高見から他人を見下すのも。笑っちゃいますよね。あの程度で塊みたいに人が寄ってくるんだから。やりましたね。友人が言ってましたよ。「出世なんてするもんじゃない。景色が変わりすぎだ」って。他人の無能さが滲んで見えるそうです。そういう経験って大切ですよね。出世できない人間なんて、クズっすもんね。出世して態度変わる人っているけど、結果オーライっす。しょうが無いですよ。人気者として責任とか義務とかいっぱい出てくるんでしょ。
ああ、人気者だから人気者なりの不安もありますよね。大丈夫ですよ。人気出た者勝ちですから。前科ついたって、人気の出たIT社長は復活してますしね。良かったですね。儲かりました? 良いですよね、何やったって。理系だって言えば通るんでしょ。倫理観欠如してたってしょうがないですよ。理系ですもん。原爆作れる人たちですもんね。僕もほしかったなあ。あなたみたいな技術と知識。
いやいや反論とかノー・サンキューっす。絶対敵いませんから。理系の人気者には。
彼は気づかない。結局、そのリストは原理的互助会を炙り出すところまでには至らない。原理的互助会は存在する。たまに、その構成メンバーがブログでぼろを出していたりする。他にも誘われたという証言もある。原理的互助会に到達するには、彼はそのメンバーに潜入するしかないだろう。全貌はそれでしか分からない。
いやもしかすると、彼自身原理的互助会に参加していたのかもしれない。その狷介で、倫理の欠如した性格から、彼は原理的互助会を追放され、その腹いせとして、くだらない、いいかげんなリストを製作した。真実は断片としてリストのなかに散らばっている。誰か、それを証明できる人間を彼は固唾を呑んで待っている。組織の崩壊が先か、組織の報復よる彼の人生が崩壊するのが先か。彼は自身の心臓の音を聞く。自分に言い聞かせる。「大丈夫だ。酒でも飲めよ」シーバスを三本開けてもまるで酔えない。「塊に期待した俺が馬鹿だったか」。ボストンバッグに、当座の着替えを詰め始める。崩壊を避けるために、彼はあてどなく北へ向かおうと決めた。最後に妻を抱こう。扉を開けると、妻の首は、下着姿の妻の腹の上に乗っていて、彼をじっと見ていた。
おならをした人間が、始めに騒ぎ出すものである。
エッセイ、雑文集 まさりん @masarin
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