ユメの旅路

@misogi_kosuke

第1話

 夢は昔は一種の幻覚とされていたが、科学は進歩するもので

あっという間に夢の中に入れる装置を作ってしまった、明確に言うと瞬間催眠装置と言うらしいこれは日本が世界で最初に作った物らしいが当初の価格は一つ三千万程したらしい、よっぽど裕福じゃないと買えない代物だったのだ

だが今、その装置が科学進歩のおかげで一つ三万円まで安くする事が出来て、ほとんどの家庭にはテレビゲームがないなら瞬間催眠装置を使えばいいじゃないとまで言われた程だ

それほど一般に普及してきたのだ、僕も普及の風に乗せられて買いに行ってから、今日に至るまでほとんどの時間を瞬間催眠装置で寝ていた。


夢の中で起こった出来事や記憶は現実には持ち出せないらしい

そこはあくまで夢の中というわけだ、夢の中では1人の意識の事を夢世界といい他人が他人の夢世界へ入ることは可能、だがその夢世界の持ち主に失礼な行為などをすると追い出されてしまうらしい。

夢世界には共通認識を持つとグループのような夢世界が出来ることがあるらしいそれをシェアドリームと一般に言う。

僕はシェアドリームでのあるゲームみたいなものにはまっていた

端的に言うと夢の中だけのモンスター対人みたいな感じのゲームだ現実的に言うとモンスターハンティングのようなゲーム。


僕がこのシェアドリームを始めたのはいつぐらいの頃だっだろうか、その時の僕は始めたばかりのシェアドリームに夢中で自分の夢世界をほったらかしにしているような一点しか見ない愚か者だったのだ。

僕はこのシェアドリームや夢世界が大好きだった、でもそれは過去形だ


自己紹介が遅れました

僕の名前は黒い川に無し有りと書いて

黒川無有(くろかわむう)と言う

趣味は読書で、特技は手品と言ったところだ、誕生日は12月31日、好きなことはゲーム、こんな感じでいいだろうか


 僕は夜10時課題を終わらせた後、瞬間催眠装置を取り付け、刹那的に眠る

眠った脳が一気に覚醒していくのが分かる、ここが僕の世界、夢世界だ、僕は夢世界には目もくれず、あるシェアドリームに移動する

シェアドリームには夢世界とは違い多くの人で賑わっていた、このシェアドリームは現実のとあるハンティングゲームを参考としているらしく

その為ハンター達で狩りに行けたり、グループを作れたりする、モンスターも再現度は物凄く高く

ゲームの中に入った様な感じがある、これもすべて皆が叶えたいと思ったから出来たことだ。

1人で武器の調整をしていると、後ろに人の気配がした「まぁあいつだとは思うが気づかないフリをしておこう、あいつに関わると疲れるからな」

「ちょいちょいそこのお兄さんそーゆーこと言うのは良くないと思うよ!私みたいに可愛い女の子に向かってさ」

「なんだ、ミラ今日はいつもより早いじゃないか、なんかいいことでもあったのか?」

「さらっとスルーしないでよ!もう

でも今日はいいことあったんだーご飯食べてる時に食堂のおばちゃんがいつも来てくれてありがとうねって言ってお食事券をくれたんだよ!凄くない!?」

「はいはいすごいですね~」

「でしょ!」

この見るからに馬鹿そうな奴がミラ

リアルネームはわからないがこのシェアドリームの中でのグループのメンバーだ、好きなことは食べること、でも食べても食べても太らないらしい、年齢は僕と同じ15歳、武器はハンマーを使っている。

「よぉお待たせ、まだ2人だけか?」

「そうだよ、ブロウさん」

「あら~またごっつい装備してますねブロウさん」

「そうか?俺にとってはこのぐらいの装備重りとも思わんがな」

このブロウさんと言う人がこのグループの団長、年齢は20歳、リアルネームはわからないが、このシェアドリームの中でも5本の指に入る双大剣の持ち主だ。

「おーいミクロこっちだ」

「すまないな、遅れてしまって」

「いや、大丈夫だ、皆今来た所だからな」

「そうだよミクちゃん気にしないで」

「そのあだ名は止めて、、」

この女性はミクロ、リアルネームはわからないが、年齢は17歳、このグループのメンバーで、武器はスナイパーライフルを使っている

「今日はどんなモンスターを狩りに行くの?ブロウさん」

「まぁそう急ぐなミラ、ムウ何か提案はあるか?」

「今日は、僕の双剣が後少しで最終強化まで行けそうなので素材集めを手伝ってもらえますか」

「別に俺は構わんが」

「私も構わない」

「私もいいけど結局モンスター何にするの?」

「モンスターは、神龍ガイガルカ」

「え~またぁ」

「しょうがないだろ、素材幾らやっても出てこないんだから」

「分かった俺が申請してこよう1番難しいのでいいか?」

「はい、お願いしますブロウさん」

「じゃあ各自準備が整い次第またここに集合だ、では解散!」


「まだ誰も来てないのか」

「私、いますよー」

「じゃあ1人で待つか」

「おーいミラちゃんここですよーここにいますよー」

「弱ったな、幻聴が聞こえる、シェアドリームの中だからか?」

「酷いよムウもうっ」

「ハイハイわかりました、ところでミラ今回のガイガルカでは回復ドリンク忘れんなよ」

「う、それは...だって..」

「だってもかってもないだろう、あれはミラが悪い」

「ごめんなさい。でも、今回はそんなことないから大丈夫!」

「本当か?もう一度チェックしとけよ」

「はいはーい、ないと思うけどねー」

「ならいいんだが、ん?なんだその顔は?おい、おいおいおいなんだその悲壮な顔は、」

「回復ドリンクグレート忘れました。」

「それは忘れちゃダメだろっ!」

「ごめんすぐ取ってくる!」

「なんだ?ミラが走って行ったが?」

「ブロウさん、ミラがまた忘れ物をしまして取りに行かせてます」

「またか、忘れ物癖は全然抜けないな」

「お待たせしました、ミラはどうしました?」

「ミクロ、ミラがまた忘れ物を...」

「またですか、ミラの癖は重症ですね」

「皆、おっまたせー、それとごめんなさい!」

「...」

「...」

「気を取り直していくぞ!」


目的地は終焉島、ほとんどが謎に包まれている島らしい、制限時間は1時間で、1人瀕死状態になったらクエストが強制終了される他のクエストとは違う、クエストなのだが僕達はこのガイガルカに何度も狩ってきている、けれど今回に関しては何か違う感じがした、


終焉島はいつも通り、異質で質素で、土が空気が草が気が生命力が死んでいる。

「じゃあ俺とムウが様子を見てくるからミクロは弾の補充、ミラは忘れ物がないか確認してくれ、行動開始!」

「ブロウさん、居ませんね、おかしいですよね、いつもはここにいるのに」

「そうだな俺のクエストには神龍ガイガルカと未確認モンスターの討伐と書いてあったんだがな」

「それだよ!ブロウさん未確認モンスターはやばいですよ、リタイアしましょう」

「それはダメだ!」

「何でですか!仲間の身の安全が大事じゃないんですか?」

「理由はな、未確認モンスターと一度でいいから戦ってみたかったんだ!」

「それはダメだろ!」

「大丈夫だ!これはあくまでシェアドリームの中だから、現実に影響は無いし、あとこのメンバーなら出来ると思うんだ」

「はぁわかりましたよ、でももしメンバーが怪我でもしたら...恨みますから」

「おう!わかった」

「ギャァァァァァア」

「いくぞ!」

「はいっ!」

「いたな、ガイガルカだけだな」

「俺が様子を見ているからミクロとミラにこの現状を伝えてこい」

「はいっ!」

僕は走り、ミラとミクロに今の現状を伝えて再び走る、走る、走る、走る、走る、走る、走る、止まる、止まる?

止まった、止まってしまった、見てしまった、走った、何よりも早く、速く、ブロウさんの元へ

「ミラ、ミクロ絶対に後ろ向くなよ!」

「了解した、」

「わ、わかった!」

「急ぐぞ、早くブロウさんに...」

着いた、今起こったことを見たことを全て伝えてブロウさんは、

「先にガイガルカを倒し、それから対策を考える今は時間が惜しい、いくぞ!」

ガイガルカの全長は25メートル程なので、他のモンスターと変わらないのだが、ガイガルカの放つ攻撃が特殊なので読みにくいのである

僕は尻尾攻撃を避けつつ右脚に攻撃を当て、敵の注意をこちらに向けて

ミラやブロウさんの攻撃を当てるミラは頭を中心とした気絶を狙っている攻撃を続け、ブロウさんは敵の隙が出来ると大きな二つの大剣を振り当て僕の双剣にも負けないぐらいの迫力で多くのダメージを与えている、

そうして、少しづつポイントへ近づけ、ミクロがガイガルカにスナイパーライフルの銃口を向けている

ポイントに入ると仕掛けておいた地雷が起動し、ガイガルカの足場を崩し

怯ませた所をスナイパーライフルで、麻痺弾を撃ち込む、5発ほど撃ち込んだところで、麻痺する

ガイガルカの頭部に背中から駆け上がったミラが思いっきりハンマー叩きつける、地面に衝撃が走り、ガイガルカは気絶した

その隙を逃さないかのようにブロウさんが双大剣を凄いスピードで振り回す、ミクロさんも同様に相手の唯一の弱点である羽を狙っては撃ち込み、弾がなくなったらリロードする、その作業を物凄い速さで行っている。

僕は、地雷を仕掛けては敵の注意をこちらに向けて攻撃を避けつつポイントへ誘導し、地雷が爆発したところで動かなくなった尻尾に双剣の連撃を当てる、このバランスのとれた作戦で狩れると思った瞬間

禍々しいほどのドス黒い気配が背中に流れてきた、

ヤバい、脳が危険信号を発しているのが分かる。

「皆、一旦退散だ!急げベースキャンプまで!」

皆、全力疾走した、勿論僕もだが、何故か脳に焼きついた、危険信号は消えることはなかった

ベースキャンプに戻ると回復ドリンクを飲みながら、作戦会議が始まった、

ここで問題となるのが、あの黒いモンスターだ、あいつは今まで戦ってきた中で1番強いと思われる、それだけじゃない、モンスターには、それぞれ特技というか高火力技というか必殺技みたいなのが一つはある、例えば、ガイガルカでは、HPを半分まで削ると全属性のブレスや全属性耐性が付いたりする、でも

あの黒いモンスターのそれがわからない、情報がなくっちゃ作戦も考えようがないってものだ。

「僕が偵察に行ってくるよ」

「1人じゃ危ないよ」

「大丈夫、心配しないで、結局は誰かが偵察に行かないといけないんだから」

「でも...」

「大丈夫」

「...うんわかった、怪我しないでね。」

「俺からもよろしく頼む」

「手間を取らせてすみません」

「任せて下さい!」


かっこよく出て行ったのはいいとして

モンスター2体いる所に1人で正面から行くのは流石に馬鹿だと思ったので、煙玉を使い、ターゲットを黒いモンスターだけに絞り観察することにした、

まずは煙玉を投げ、黒いモンスターの方に走り、また見てしまった、と思うほどに黒いモンスターは余りに黒々しく、はっきりしているのは顔だけで顔も仮面を被っているような感じだ

体に関しては余りに黒々しく、見てるだけで気持ち悪くなってくる

そんなモンスターを観察するのは、気が滅入るのが、正直な感想だが、引き受けてしまったからには手ぶらで帰るわけにはいかない

脳をフル回転させ情報収集に徹する、まずは、相手の脚を狙うが深追いはせず、自分の身を最優先して、立ち回る、相手の攻撃は単調でなんとも読みやすい、正直見た目だけが強そうなだけで、実際に殺ってみるとそんなに強くないんじゃないかと思ってしまった、相手の脚に攻撃を当てると...手応えが無かった、別に外した訳ではない、相手の脚はゼリーのように柔らかく、けれど、ゴムのように僕の攻撃を跳ね返してきた、こんなモンスターに勝てるのか、そう思った瞬間に、黒いモンスターから黒い液体みたいなものが僕に付着する、でも特に毒の様なダメージはなく、動けなくさせるものでも無かった

では、なんだろうか?僕は気持ち悪くなり急いで黒いモンスターから逃げ、液体を取る、地面に落ちたその黒い液体は黒いモンスターの体を少しづつ取り、人の様な形を作り上げていた、

正直言うと気持ち悪かったそれは余りに黒々しく僕にそっくりな黒だった

2つの剣を持ち

着ている装備も全く同じ

髪型さえも瓜二つだった

けれどただ一つだけ違うものがあった、黒かった、全身が装備が髪が、剣が、全てのものが、黒かった真っ黒だった漆黒だった。

黒い僕は僕を見て、呻き声をあげながら、切りかかってきた、「...ギァァァァァァアアアア」

黒い僕は僕の立ち回りを完全にコピーし、僕が攻撃をするとその攻撃を受け流し、受け流した遠心力で、僕の横腹を狙うが、僕がもう一つの剣で受け止め、距離をとりながら考える、

相手は僕、僕と同じ立ち回りをする、

体力、腕力、脚力、全てにおいて僕に同じだとしたら、僕が普段とは違う戦い方をしたらどうだろう

「ヴギャァァァァア」

集中しろとでも言うように黒い僕は呻き声をあげながら僕に真正面から行くと見せかけて体勢を低くしながら僕の背後を取ろうとするが、僕が普段使っている戦術なんか引っかかるはずもなく、見ることもなく避けて、逆に僕が背後を取るとすぐさま切りかかる、相手はこちらもこちらを見ずに二つの剣で抑え、抑えた両手をもう一方の剣で切り飛ばした。

勝利を確信した瞬間、

相手の切り飛ばした両手が直っていた...

どういうことなのか分からないが、ニつだけ分かった事がある

それは相手は再生能力を持っていることと多分だが黒い僕には核みたいなものがあると思われる、それを壊せば多分だが消えると思う、ということは核がどこにあるかさえ分かれば勝てるということだ、

まずは核を探すことを最優先にして、相手に攻撃を仕掛ける、

今までの僕とは違う動きで

相手に真正面から切りかかると見せかけて体勢を低くし相手の背後を取ろうとするが相手も僕なので当然分かっている、通常通りガードされたがこれでいい

僕のこれでの狙いは背中に攻撃を当てることではなく転ばせる事だった

僕の奇行は成功し見事に転ばせ、その後の追い打ちの攻撃も当てたのだが、僕の剣が貫いたのは相手の頭だった、その時僕は見た、相手の頭の傷が塞がって言っているのを、では核は頭にはないという事だ、なら後ある所は多分一つだ、それは...

相手は頭に剣を刺されても、表情一つ変えずにただ「ヴァァァァァァアギャャャャャャャャァァァアア」呻き声をあげ続ける、黒い僕は僕を二つの剣で殺そうとする、それをとっさに避け距離をとりつつ相手が攻撃を仕掛けてきたら受け流し、奇行のチャンスをうかがうが、

相手も学習しているみたいで、僕の奇行にもだんだん対応してきた、僕が相手の脚を取ろうとするととっさに避けることが多くなってくる。

これは普通の奇行だと通じないと気づき、相手の攻撃を受け流しつつ隙を見て距離をとる

ここまでは相手も予想していたようで深追いはせずに隙がない構えをとっている

僕は構えをとっている黒い僕に向かって回復ドリンクを投げた、何故かって?ただの目眩しだ。

黒い僕は戸惑い、剣でとっさに払うと、体に回復ドリンクがかかり注意が怠った所で僕は剥ぎ取り用のナイフを投げた、

投げたナイフは黒い僕の心臓へ飛んでいき

黒い僕の軽装を貫き核へ届いた瞬間

大量の黒い血が溢れ出し、黒い僕は溶けていった。

「卑怯な手を使ってごめん、でも勝負に卑怯なんて当たり前な事だから。」

黒い僕は居なくなり、黒いドロドロだけが残り、再生しない事を確認して

皆の元へ走って行った。


皆は今にも死にそうな顔をした僕を

励ます声や感謝の声や謝罪の声をかけてくれたが、そんな事してる場合じゃないことを第一にみんなに伝えた

仮面をつけた黒いモンスターのこと

ガイガルカと黒いモンスターが一緒にいること

黒い粘液のこと、

そして、黒い僕のこと

「それは、少し、いや結構まずいな」

「このエリアではあんまり隠れて射撃出来る所が無いので2体は流石にキツいかと...」

「これはもう、無理なんじゃ無いかな...」

「諦めるのはまだ早いです。僕の見立てではガイガルカと黒い仮面のモンスターは煙玉で分ける事が出来た訳ですし、黒い粘液が肌に付着するといけない訳なので、対処法は十分にあります」

「ほう、諦めるのはまだ早いのには賛成だが、対処法が酷かったらこのクエストはリタイアするからな」

「大丈夫ですよ、ブロウさん心配しないでください」

「では、作戦を説明します。

作戦はまず、ガイガルカと黒いモンスターが一緒にいたら煙玉を使いガイガルカと黒いモンスターを離別し、粘液を受けないように黒いモンスターの死角から一気に核を狙いに行きます。」

「もしもこの作戦が、失敗したらどうするんだ?」

「その場合は大丈夫です。

根拠はこれを着てもらうからです。」

「これってなんだっけ?」

「あれですね」

「温感コートだな」

「でも、終焉島では必要無いはずだが?」

「僕は心配性でしてね、終焉島は謎が多いので、いつ何があってもいいようにいろんなものを携帯しているんですよ」

「ムウすごーい!」

「流石ですムウ」

「流石だなムウ!」

「いえいえ、それ程でも///」

「ムウ照れてる~」

「照れてねぇよ」

「うっそだぁ」

「///うっせぇよ、だまれ」

「ムウかっわいい」

「可愛いとかいうな...」

「はいはーい」

「そんなことする前にさっさとお前たちもコート着ろよ」

「そうですよ」

「了解しました」

「了解です!」

「あ、名前決めませんか?」

「ん?なんの名前だ?」

「あの黒い仮面のモンスターの名前ですよ」

「そうだな、決めておこうか ムウ、ミクロいいか?」

「はい、大丈夫です」

「僕も大丈夫です」

「じゃあ~、黒くて仮面つけてるみたいだったから黒仮面とかは?」

「「「...センスない」」」

「ええーなんでーセンスありありですよ、かっこいいじゃないですか!」

「「「...」」」

「わかりましたよーだ

じゃあムウ考えてよ」

「えぇ僕、んーじゃあ、バクとか?」

「えぇー何それかっこよくも可愛くもないんだけど!」

「はっはっはっいいじゃないか!」

「私も賛成です」

「そんなぁ~」

「じゃあバクで決定ですね」

温感コートを着てもらい、制限時間が半分まで削れた頃、なんと、ガイガルカがいなくなっていた、

いや、実際にはいたが、殺されていた、いるのはバク1体だけ、どう考えてもバクが殺したとしか言いようが無い

ガイガルカは赤黒い血を吐いて、何とも残虐な姿で死んでいた。

モンスターが、モンスターを殺すのはまぁ稀にはあるが、モンスターの中でもトップクラスの力を持つガイガルカでも、勝てないとなると難しい戦いになる事は絶対に避けられない、

「では、行きます!」

「「「了解」」」

ミクロは相手に気付かれないように細心の注意を払いながら距離を置きスナイパーライフルを構え、相手心臓部分へ銃口を向けた。

ミラは振り向いた時に仮面を狙える位置をとり、1発で気絶状態にさせられるように集中した。

ブロウはミラの後に続きミラが相手を気絶させた後一気に心臓を狙いに行くために大きな二つの剣を取り出した。

僕はミクロの銃撃に合わせて一気に心臓へ剣先を入れるために耳を傾けた。

「バンッ」ミクロの銃撃を始めに僕は抜刀しながらの攻撃を行う、

ミクロの銃撃は心臓へ届いたが、また、すぐに再生されてしまった、注意がミクロに行ったところで

僕の抜刀攻撃はバクの心臓らへんを真横に切った、でもダメだった、僕の抜刀攻撃は手応えがなかった

注意が僕に移ったところでミラがハンマーをバクの下顎に当てる、バクは怯み、その隙を待ち望んでいた男がバクの体を真っ二つに切り宙に浮いた半分を粉微塵にするように物凄い速さで剣を振り回している。

その時バクの仮面が斬撃で破れた所でバクの異質さが、格段に増した。

仮面の奥の顔を見たブロウさんは切りつけていた手を止め後ろに飛んだ、

僕もミラもスコープを覗いていたミクロでさえ、攻撃をやめて防御や回避の出来る体勢に無意識のうちになっていた、全員が防御や回避行動をやめようとした時

「ヴギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァア」物凄い咆哮というか叫びが全員の耳を刺激した、全員その場にしゃがみ込んだ、その時バクが体を振って液体を撒き散らし僕らに当ててくる僕らには温感コートという対策があったので1度は当たっても大丈夫だが二度目になると流石にコートも役に立たないので全員液体に当たらないように注意して回避を続けているが

限界がきたようでミラと僕が当たってしまった、その場でコートを脱ぎ捨てる、バクの撒き散らしが、終わると、すぐさま攻撃態勢に移行とはできなかった、

あのブロウさんでも撒き散らしを避けるのが精一杯だったので流石にすぐさま大きな剣を二つ持って戦いに行くような芸当はできるはずもなかった

ブロウさんは二つの剣を持って防御の態勢をとりながら体力の回復を図り、体力がある程度回復したら、一つ剣を地面に刺し、もう一つの大剣で相手の心臓部へぶっ刺したが、

そこに核はなかった。

ブロウさんは心臓部へぶっ刺した剣を抜かずに、地面に刺したもう一つの剣を手に取ると、相手の異質な顔面を剣で切った、と思われたが、それは避けられ、異質な顔から粘液を飛ばしてブロウさんに当てようとする、ミラは飛び出して、ブロウさんを助け

僕は注意がミラに向いているところで黒い僕でも、使った剥ぎ取り用のナイフを相手の顔面に向かって投げた。

投げたナイフは一直線にバクの核めがけて飛んで行き。

バクは倒れた。

傷口からは黒々しい血と言うか、黒い液体のようなものが流れ出していた。やっと倒せた。やっと殺せた。

仲間を失わずに。僕以外誰も黒くならなくて済んだ。初めて未確認モンスターを倒せた。ガイガルカの素材だけでなく、バクの素材も手に入れることができた。

時間内に勝つことができた。

本当に嬉しい気持ちだった。

これが本当に死んでいればの話だったが

バクは何事も無かったように起き上がり、僕の剥ぎ取り用のナイフをバクは自分の核から抜く、多く黒々しい液体が出るが、そんなのお構い無しに鼓膜の破れそうな、相手を殺せそうな声を僕たちにかけてくる。

「ヴァギャァァァァァァア」

これは、もう駄目だ。

時間的にも精神的にも体力的にも

そう思った刹那。

「ヒュッ」

何かが僕の隣の空間を切り裂いた音が聞こえた。

そして、

バクの核が弾け飛んだ。


「神龍ガイガルカと未確認モンスターの討伐お疲れ様でした。」

「こちらが報酬です。」

僕たちはバクを倒した祝勝会を開いていた。祝勝会と言っても4人しかいないので小さなものだが、大いに楽しんでいた

勿論酒は飲まずというか飲めないんだが。

唯一お酒を飲める年齢にあるブロウさんはオレンジジュースという体格に似合わないなんとも可愛げのあるものを持ち

ミラはドクターペッパーという、意見が絶対的に割れる飲み物を持ち

ミクロは紅茶という場違いな飲み物を持ち

僕は普通にコーラを持ち

「ミラ!ミクロ!ムウ!

今回は良くやってくれた!

今回は俺の独断でこのクエストを選んだが、このクエストはやってよかったと思っている、皆がいなければクリアには辿り着けなかった、特にムウ!」

「はい!」

「温感コートは物凄く助かった!

偵察に行ってくれた時も大量の情報を集めてくれたことには感謝の言葉しか出ない!あと、双剣最終強化おめでとう!」

「ありがとうございます」

「あと、ミクロ!バクを良く倒してくれた!ラストアタックかっこよかったぞ」

「いえいえあれは皆のおかげですよ。」

「では、乾杯の準備を」

「今回のクエストの成功と無事を祝って

乾杯!」

「乾杯」

「乾杯」

「かんぱーい!」

祝勝会は、楽しかった、この後が憂鬱になるほどに...


 目を覚ました、質素な部屋にベッドはなく瞬間睡眠装置が代わりにある、僕はここから起きるのが1日の中で1番憂鬱だ

そんな憂鬱な気分で起き、高校へ向かう為に制服へ着替えると「おーい無有

いつまで寝てるのー?」

僕の憂鬱に滑車を掛ける声が聞こえる

「起きたぁふぁぁぁぁあ」

「朝ご飯出来てるよ」

「はいはい」

「姉ちゃんは食べなくていいの?」

「あ、そうだった」

「今日はパンと牛乳とベーコンエッグとサラダとバナナか30点だね」

「いちいち採点しなくていいから」

 この人が僕の姉

黒川姫(くろかわひめ)

年齢は20歳で、趣味は料理

仕事は瞬間睡眠装置関係の仕事、

誕生日は4月3日

一応言っておくが、僕の姉だ。

 「無有、お姉ちゃん今日も仕事で遅くなるから、晩ご飯は自分で作って食べてね、あとお姉ちゃんのも作ってくれると嬉しいかも!」

「あぁはいはいようはいつも通りってことでしょ?」

「まぁそうゆうことになるね」

「じゃあごちそうさま」

「お粗末さま」

「片付けは私がやっておくから

早く学校行ってきな」

「分かった、いってきます」

「行ってらっしゃい」

僕は普段通りが好きだ。

いきなり脅かされるのは嫌いだし

ある日突然学校で小テストを出されるのも嫌いだ

もちろん犯罪に巻き込まれるなんてごめんだ

総じて言うとイレギュラーが大ッ嫌いだ

学校へ行った僕にいきなりイレギュラー

が来た、本当に憂鬱だ。本当についてない、いきなり転校生が来るなんて。

僕の席は一人席だ。

朝来て読書するのが僕の習慣で

読む本がなくなると窓の奥の空を見て無機質に見ていた

今日も読書し終わったあとに空を見ていた、ホームルームが始まるがそんなのはどうでもいい

こののんびりとした時間が僕は好きだった、雲がゆったりと流れて色んな形の雲がある、今日は晴れでとてもいい天気だ、雲の量もちょうどいい、これで憂鬱な気分を「黒川」なんだよ、今いいところなのに「黒川」黒川さん呼ばれてるよ

早く出てきなよ「黒川!」

「はい!」まぁ僕の事だよね。

憂鬱な気分で前を向くと1人の見かけない女生徒と僕のクラスの担任がいた、

「やっと向いたか黒川、

悪いんだが机と椅子を空き教室から取ってきてくれないか?」

「いいですけど何でですか?」

「ちゃんと話を聞いておけよ

未来さんもう一度自己紹介を」

「はい!これからこのクラスに入ることになりました橘未来と言います。

よろしくお願いします」

「先生、転校生ですか?」

「そうだな」

「よろしくお願いします黒川くん」

転校生なんてイレギュラーは嫌いだ。

机と椅子を空き教室から運んできた僕は僕の机の隣に橘の机を置くと大量の生徒に質問攻めに合っていた橘がこちらに来て、「黒川くん隣同士だねよろしく」

「う、うん、よろしく」

「無有って呼んでいい?」

「はいっ?」

「だから無有って呼んでいいかって聞いてるんだけどいいかな?」

「いいよ別に」

「ありがとう、じゃあ代わりに私のこと

ミラって呼んでいいよ」

「まぁ機会があったらな」

「機会ならいくらでもあるでしょ

学校とか登校中とかたまたま会った時とか...夢の中とか....」

夢の中?まぁ所詮例え話、気にする必要はない。

「その機会を僕が全部潰したら?」

「その時は機会を作るよ!」

「私から話しかけてね!」

そして僕のクラスに橘未来という

僕のイレギュラーが現れた。

 最初の授業は国語総合、別に苦手科目というわけではなかったが、今回だけは嫌だった、端的に言うと、僕の隣の席の転校生と一緒に僕の教科書を共有している、この事実が嫌だった。

「ムウちょっと教科書一緒に見せて?」

この一言から始まった、ここで否定の言葉を言えなかったのは周りの男子達の威圧と女子達の凍りついた眼差しのおかげで僕の教科書は共有されることになったのだ。

国語総合のあとの全ての授業で僕の教科書は共有され

授業がつまんなくなってきたらイレギュラーが僕に話しかけてくる

おかげで今日の授業は何一つ集中できず気づいたらホームルームになっていた、担任が何か話しているが僕は疲れきっていて聞こえない、頭の中で考えている事と言えば瞬間睡眠装置で寝ることぐらいだ、早く帰って寝ようそんな事を考えているとホームルームが終わり橘が僕に話しかけてきた。

「ムウ、一緒に帰ろ」

「僕はこれから家に帰って寝...」

女子の視線が痛い。

廊下にいる男子からも、迂闊なことを言うと殴るぞオーラが出ていた。

「いいよ、特に用事も無いしね」

「やったーじゃあ帰ろ!」

あぁ憂鬱だ。

その後帰宅途中。

黒いスーツを着た5人の集団に

僕、1人だけ、気絶させられた。

何で僕1人だけなのか、未来はどうしたのか、何のためにこんなことを、

色んな疑問が出てくる中で、

僕は最後に未来の顔を見た

その、ミラの顔は...

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