アラーム

 ある資産家の家に二人の空き巣が侵入した。

「いつも通り、手はずは整えているか?」

「もちろんだとも。ちゃんと電源は切断したし、警報も絶対なら内容にしてある」

「ならよし、仕事に取り掛かるぞ」

 二人が部屋内を物色していると、空き巣の一人が何かに気づいた。

「おい、どうした?」

「なにか聞こえないか?」

 二人は耳を澄ませ、辺りを警戒する。

 すると二人の耳に、ピピピッと鋭い音が入ってきた。

「おい、これってアラームの音じゃないか!?」

「バカな! 確かに電源は切断して、アラームなんてならないはずだ!」

 だがしかし、紛れも無くこの音はアラームだ。二人の男は顔を見合わせ、焦りの表情をあらわにする。

「そうか! 副電源だ! 主電源を落としても、そっちで作動する仕掛けなんだ!」

「ならまずいぞ! 今すぐずらかろう!」

 そういい二人の空き巣は何も盗らずに、家の外へと逃げ出した。


 その後二人の空き巣は焦った拍子に多数の証拠を残し、逮捕された。

 二人の空き巣は事情聴取で、あのアラームについて刑事に聞いた。

 すると刑事は大笑いで答えた。

「あれは家主が消し忘れた目覚まし時計だ」

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ポケットコスモ @tako5566

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