ほね


見てごらんよ

骨がないている

太陽が目を

じりじりと食い尽くしたあと

たったひとり

置いていかれた

その意味が

すかすかの手の甲をすりぬける


濡れた黒ボク土をさまよう

あおい新芽がぱかりと割れて

肋骨のきしみの隙間から

衝動が生まれ出ようとしている

鼓動を聴く

ここにはない

灰になったからだ

小さな壺の中から

覗く世界はどこか白い


雨が降っている

骨盤がびちゃびちゃと跳ねて

空間は僅かにたわむ

びっしりと張られた

交差する糸

存在はその上を知らぬ間に歩き

世界がまた純度を増す


骨 白い骨がのびている

がらんどうを抱えて

ただそこにある

膝を抱え込んで

時が肩を叩く日を待つ


何も変わることは無い

ただ焦点がずれてゆくだけで

どこにでもいられるのなら

どこにもいないまま


うつくしい骨がたっている

誰でもある骨が立っている

たったひとりのままで

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どうにもならない詩集 あめやまあきら @akira-hibiki

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