第9話 大国戦
宣戦布告されてから数日後。
いつも通り、マリンの相手をしていたときに、聞いた話である。
「なあ、今は、ぶっちゃけどっちが有利なの?」
「何がだ」
「み、ミラネウルバ王国だっけ?そことクロイクのどっちが有利なんだ?」
「ああ、その話だったか」
「今、それ以外になくないか?」
「いや、てっきり競竜の話かと…」
「なわけねえだろ!」
「クロイクの方が有利じゃ」
「なんで?」
「ミラネウルバのチカラの源は水なのだが、最近その水が不足がちなのだ」
「不足がちだとどうなるんだ?」
「言ったじゃろ。チカラの源が水と。つまり水の加護を受けていたのに、それが少ないと言うことは、チカラが存分にだせないということじゃ」
「なるほど」
「だが、こっちもこっちで問題を抱えておる」
「え?何それ」
「圧倒的に数で押されているのだ」
「ああ、だからなかなか決着がつかず、長期戦にもつれこんだ、と」
「そういうことじゃ」
この話をきいたあと、俺は1人で考え事をしていた。日本にあって、こっちの世界にはないものが、あるということを。
それは、工業だ。機械だ。
ほとんどこの世界には、ない。
なぜかって?
魔法に頼りすぎているからである。
ランプなどの光も、移動手段も、料理などに使う火も、何もかも魔法でできる。
この世界には蒸気機関すら、ない。
俺からしたら、すごく住みにくい世界である。
発電方法が魔法とか、ヤバすぎる。
だから、水不足になったりするんだろが!
魔法は確かに便利だ。だが、使いすぎてもいけない。
この世界の住民は馬鹿なのか、と
ふと思った。
ついに、来てしまった、この日が。
戦争だ。
因みにこの戦争は大国どうしがぶつかるため、<大国戦>と呼ばれている。
国境の橋の端でにらみ合いをしていた小隊が激突して、スタートした。
続く
(ヒキニートの)異世界生活記 鼬。 @ponsan
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