第5話
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「どうやって手懐けたんだよ」
「手懐ける?」
こちらに「ありがとー」を振りながら笑顔で去るオトモダチに手を振り返して向き直ると拗ねたように頬杖をつく伊崎。
「誰のことも手懐けたつもりないんだけど」
「わかってんだろ。あいつらとあんな仲良くなって」
「え、なに妬いてんの?」
ぼそっと呟やいた伊崎を凝視する。
「はぁ?!妬いてね、」
「うそ、うそ。別に仲良くなってない」
だいたい、話したのは写真を見ながらの10数分だ。そのなかで仲良くなるも手懐けるもなにも、ないだろう。
「……おまえなんなんだよ…」
「いい人たちだよね」
花房の人間味のあまり感じられない柔らかい雰囲気も黒髪の彼女とファンキーな彼女の会話、と言っていいのかわからないけど あの2人の独特のテンポも嫌いじゃない。
「そういうこと言うんだな」
「馬鹿にしてるの?」
ボクだって他人に情を浮かべることもある。
「もっと嫌がると思ったからな。あっちゃんに連れてこられた時も」
「なんで」
笑いながら言う伊崎。
「金髪とかピアスとか、あいつなんか特に髪すげーだろ?
ファンキーな彼女は、百先さんというのか、青と緑の髪色をしていた無口な彼女。
「黒崎は見た目こそまともだけど話したらあんなだし」
50円のポストカードを買うのに100円をボクの手に乗せた百先さんになにを言う訳でもなく自分の50円を下げて百先さんの手に乗せた彼女。
伊崎はなおも顔に笑みを浮かべている。
「花房はなあ…あいつチャラいし、ふらふらしてるしなぁ男からは結構敬遠されてる」
桜と街灯の写真をみて 自分のまんまだと笑った彼も。
「それで伊崎はボクが君のトモダチを嫌がれば満足か?なにがいいたい」
「なにって」
「誰だって話したこともない人間とはじめて話すとなったら戸惑うものだろ。伊崎も、君のトモダチもなにをそんな 思ってる」
阿久津に連れられてやってきてから 伊崎が何回自分を“嫌”な要素だとボクに問うた?花房も、伊崎も、
「なにをそんな気にしてる?」
伊崎は驚いたように 目を開いてボクを見ている。
「鈴木、怒ってる…?」
「怒ってない」
「…うそだぁ…」
「怒ってないけど、伊崎がそう何回も言うなら怒ってやってもいい」
ええやだよ勘弁
そう言った彼はどこか嬉しそうに笑っていた。
不良と仲良くなる方法。 風上イヌ @kazacami
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