異世界作品における貨幣価値の設定について追求した作品。
『経済』がテーマの作品でなくても、異世界で生活していく以上、キャラクターたちは自給自足でもしない限り異世界の貨幣と付き合うことになります。その貨幣価値は、きちんと設定されていますか?
食品・薬品・武器を購入する――その物価はどうやって決まっていますか?
ギルドで受注するクエストの報酬金額は、その世界の理に合致していますか?
そんなことを見直す機会を与えてくれる作品です。
肝心なのは、矛盾を作らずに創造すること。異世界は自分で作る世界です。現実の価値と違っても、リアリティがあれば、それで構いません。
そのリアリティの追求として、この作品を読むことをオススメします。
物語における経済の考え方についての知識を提供してくださる創作資料作品です。
物価から貨幣の流通量、銀行とは何かまで、冒険者が行く先々でお金を使う描写のある作品を書いている方は考えるきっかけになると思います。
特に物価の決め方は、円換算しない方がいい・社会情勢が見えるようにする・最低限必要な額を決める、などなどコツがたくさん書かれています。
とても分かりやすく、勉強になりました。
ただ、作者様が一番おっしゃりたいのは、「物語の主題はどこか」。
考えているばかりで書き進められないのは!というくだりで肩の荷が下りました。
そうなんですよね、決めた設定を全部表に出すわけじゃないし……。
こんなに難しいこと思いつかない!――と思ったりもしましたが、「つっこまれたら考える」、この作品が教えてくださる一番重要な部分はこれだな、と思いました。