第16話 リアレス開拓開始!
魔導人形はミナと通信接続が可能なので、何をするのかはすべてミナの考えに任せた。
「アル、もしかしたら村にも魔法が使える人が居るかも知れないから、あの水晶玉持っていってくれる?」
「おお、そうじゃのう!少しでも魔法が使えるものが居れば、色々と助かるからのう」
アルフィーナは木の家から水晶玉を取ってきたので無限収納に入れた。
落としたら大変だからね!
「あのマスター」
「どうしたミナ?」
イザ出発!と言う段階でミナが呼び止める。
「村に行くなら助手として誰か連れて行きたいのですが」
手のひらで魔導人形を指し示す。
「そうだね、誰か1人か2人連れて行こうか」
「では、月花、氷花付いて来なさい」
魔導人形2人が前に出る。
ちなみに魔導人形は全員、瞳の色だけが違うだけだったので特徴を持たせるために髪形と色を変えている。
舞花は黒髪ツインテール長め、月花は金髪ツインテール短め、蓮花は茶髪のストレートロング、氷花は黒髪ロングポニーテール、翠花は髪を背中の辺りで纏めている。
「家の管理は、3人だけで大丈夫?」
「「「お任せ下さい、マサキ様」」」
大丈夫そうなので、リヤカーの後部座席に月花と氷花の2人が乗り込むと出発する。
昨日道を作っていたので、時間をかける事無くあっと言う間に村に辿り着いた。
真白が速度を出し過ぎて若干目が回るくらいに
風の方はいつも魔法で防いできたが、今後は考えなければならないな。
村に着くと早速中に入りフォートルの家に向かう。
行く途中、何人かの村人とすれ違うと、全員が俺の事を覚えたらしく挨拶してきたので挨拶を返しながら進んだ。
もちろん、村人はもう真白の事を恐がる事はない。
「これは、これは!マサキ様、魔女様、ミナ様、真白様」
家の外にいたフォートルが俺たちを見つけると、すぐに駆け寄り挨拶をする。
「ああ、おはよう。今日は村の状況の確認に来たよ」
「おおっ!それは、ありがとうございます。私とジェナートはこれから水汲みと
メルザとは、村長の息子ジェナートの嫁さんで20歳半ばの見た目、ポルトナと言う一児の子持ちの女性
見た目は働く女性といった感じでなかなか貫禄がある。
「マサキ様、よろしくお願いします」
「こちらこそ、色々と教えて欲しい!」
さて、村の中を歩きながら説明を受けるが、なんと言うか……本当に貧しい村だった。
畑は痩せていて、昨日の俺からの食糧配給が無ければ今年は何人か死んでいたかもしれない。
子供達の着ている服もボロボロで衛生的にも栄養的にもあまり良くないとひと目で分かる。
畑を耕す、物を切るといった道具類は、全て青銅製でロドルクと言うドワーフ族の人が中心となって数人のドワーフで作っているらしい。
「なろほど、よく分かった。あとは、畑の土の状態だけど、ミナ見てくれるかい?」
「畏まりました」
ミナが数箇所の畑の土を手で掘り返して見る。
「色んな栄養分が枯渇しています。また、作物には良くない病原菌が沢山在す。恐らく連作を続けていたのでしょう」
なるほど連作障害か。
連作をすると畑だと作物の生育が悪くなり病気になりやすくなる。
水田だと、ドブの臭いがするほど臭くなり、こちらも生育も悪くなる。
通常は、他の作物や家畜の餌になるようなものを植えて、家畜に食べさせて、その場で糞を撒けば良い土になる。
「同じ場所に同じ作物を作ってたのかい?」
「ええ、マサキ様の
身体を小さくしてメルザは申し訳なさそうに話す。
「別に知らなかったのだから気にせず、これから気をつければ良い。そうだな、畑は後から有機物を投入するか」
「そうですね。後は上層と下層を入れ替え、病原体や害虫が多い場所は死滅させて他の良い土と混ぜ合わせましょう」
「その辺は病原体が見える、ミナに任せるよ」
「お任せ下さい」
ミナは一礼して返事を返す。
ミナがやるからには問題ないな。
「さて、一通り見てきたんだけど……あの実は柿だよな」
村の至る所に山桜と柿の木が生えていた。
山桜は、アルフィーナの木の家周辺に自生していた、山桜の若木を貰って植えたそうだ。
アルフィーナを魔女様と敬愛しているから、それは分かる。
「なぜ柿を取らないんだい?」
柿の実は手を付けられる事も無く良い感じに実っていた。
「へぇー、この実って、柿って言うんですか!でも、マサキ様この実渋くて食べられませんよ」
「ああ、渋柿なんだね」
たしか甘柿は突然変移種だから少ないだろうけど……。
「じゃあ、今日にでも実を集めて干し柿でも作ろう!」
「あの実食べられるんですか?」
メルザはとても驚いている。
それもそうだろう、明日の食べ物も苦しい状況なのに身近に食べられる実が生っているのだから当然だ。
「うん、保存も効くし甘くて美味しいよ!」
「なんじゃと!美味いのか!」
「ワンワン!」
アルフィーナと真白が割って入ってくる。
なんか美味しい食べ物の事になると、この2人は夢中になるな。
「まあ、それは後でね。干して乾燥させないと美味しくならないから時間が掛かるんだ」
「なんじゃ、時間が掛かるのか……」
「クゥーン」
なに、この2人の凄い落ち込みよう。
「まあまあ、後で何か作るから、本格的なお菓子は牛乳がないとな~……そういえば海で寒天取ってきたから羊羹でも作ろう!」
「マスター、お手伝いします!あと、上空から牛の群れを見つけたので舞花と、翠花に確保させに行かせます。どういった品種かは分かりませんが、少くなくとも牛乳が取れるでしょう」
「おおっ!それはありがたい!でも、あの2人で大丈夫?牛って結構力強いよ?」
大学の時、何でも実践!が文化人類学の教授であり、お世話になってるお宅の主、雑賀教授のフィールドワークだった。
と言うか、あの人に研究室で書類と格闘しろと言っても無理な話しで、農学部でもないのに俺も牛や豚の種付け実習をさせられた。
牛や豚に蹴られたら大怪我をするし、凶暴な個体もいたりする。
まあ、あの体格だからね。襲われたら大変だ!
「問題ないと思います」
「う~ん、まあ、ミナがそう言うなら大丈夫なんだろうな。それじゃメルザ、これで一通り見たのかい?」
「はい、マサキ様」
考えても仕方がない、メルザから一通り見終わったとの事なのでフォートルの家に向かう。
家に戻ると早速フォートルに報告と次にやることの指示をする。
「えぇっ!あの実が食べられるのですか!」
やはりフォートル達も信じられないと言った顔になる。
「うん、だから村で手の空いてる人に実の回収を頼んでくれるかい?」
「マサキ様が仰るのなら間違いないですね、分かりました村の者に言ってみます」
まだ信じられない様な雰囲気だが、出来た物を食べれば分かるだろう。
でも、食べれる様になるには1ヶ月ほどかかるけど……。
「あとは、畑を広げたいな、今のままだと狭いようだから……っと!もうこんな時間か、そろそろお昼だけどミナお弁当は?」
「申し訳ございませんマスター、こちらで作ろうと思ってます」
「ここで?」
「はい、昨日配給した米をここの住人達は知りませんでしたので」
なるほど実演して教えるわけか。
「分かった。じゃあ、釜と水の準備は?」
「抜かりございません」
「そうか、じゃあ無限収納にある包丁も使っていいから教えてあげて」
「畏まりました」
さすがミナだ!村人に食べ方を教えるのに実演するのか!
「お昼とは?」
フォートルは何の事だと言う。お昼知らないのか?
「おお!そうじゃった。フォートルお主達は朝晩の2回じゃが、マサキはの朝昼晩の3回食事を取るのじゃ」
「なんですと!そういえば魔女様が昔言っていたような……」
「うむ、王国では、それなりに収入が有る者は3回食事をするな。貴族は例外じゃ、奴らの食事量はハンパではない」
アルフィーナのいた王国では、食事の回数は収入で変化するみたいだ、あたり前だけど……。
「どうせだから、今いる人達にも食事を振舞おう!」
「よろしいので?」
「それ位は問題ないだろう」
外へ出てない村人を呼んで昼ご飯にする。
男達は丸太や板を持ち出して、簡易のテーブルと椅子を用意して煮炊きに使う
女達はミナにご飯の炊き方と、料理を教わっていた。
ミナは、ご飯だけではなく、みそ汁と肉じゃがも一緒に作っているようだ。
そういえば、ミナが調理をしている時にドワーフが集まっていたので後からミナに聞くと、
「調理器具が全部鉄製だったので驚いてました。ここでは鉄を溶かす炉が無いみたいです。他にもマスターのお貸し下さった包丁を真剣に見ていました」
つまりは鍛冶師の魂に火が付いたんだろう。
そうだな、鉄を溶かす炉の作り方も教えないとな。
食事がみんなの前に全て揃うと食事の開始だ!
「調理の仕方はミナから教えて貰った通りだ!あとは、味になる好き嫌いあると思うので自由に食事をしてほしい!」
俺の言葉が終わるとみんな食事を始める。
「よし!じゃあこっちも「「いただきます」」」「ワン!」
うん、炊き立ては美味しいな!少し濃い目に味付けした肉じゃがもご飯によくあう!
「……」
「?」
目も前に座るフォートルとジェナート、メルザにその子供のポルトナが揃って不思議そうに俺とミナを眺めている。
見ると周りの何人かも不思議そうに見ていた。
「どうした?」
「マサキ様、その手にお持ちの棒は何でございましょうか?」
「ああ!お箸の事か!」
何を不思議そうにしているのかと思ったらお箸の事だったのか!
「これはお箸と言って、このように一つの物を掴む、割る、ご飯に乗せてご飯ごと掬って口に運ぶ!はむっ!と出来るんだよ。ご飯を食べるとき便利なんだ、俺の故郷ではよく使われているんだよ」
「ふ~む、なるほど、これは便利ですね」
フォートル以下全員がうんうんと頷いている。
「そうじゃぞ、私もまだ慣れてはおらぬが何とか使えるようになったのじゃ!」
実はアルフィーナも練習して、お箸が大分使えるようになっていた。
「まあ、食べる器具は色々あるから今度紹介するよ」
「分かりました。我々も使えるように頑張ります」
いや別に無理して使う必要もないんだけど……。
料理は好評でおかわりする人が続出するほど大人気だった。
「それじゃ皆の衆!女衆と子供は、マサキ様の言ったように柿の実を集めるのだ!男衆はマサキ様の言われる事を聞くのだ!」
フォートルが柿集めと開拓の2班に分ける。
「アルは柿集る前に女性達と子供の健康状態と魔力の確認をして、月花はアルのサポート」
「分かったのじゃ!」
「畏まりました」
水晶玉を渡すとアルフィーナは女性達と子供達を伴い別の建屋に向かって歩き出す。
うん、回復系の魔法を使えるアルなら問題ないだろう。
「さて、みんなに集まってもらったのは、畑を広げるため木を切るのを手伝って欲しい」
「あの~マサキ様、木を切ると言っても、今までもみんな頑張ってきたんですが……」
「デカイな!」
身長が2メートルを超える男達、その中の岩の様な肌をした男がぬっと現れた。
なんでも岩鎧族という種族らしい。
「んだ、俺達頑張ってきました」
もう一人、緑の肌をした巨人も後に続く。
岩鎧族とは違う種族でこっちはトロール族と言うらしい。
「うん、分かっている。木を切るのにどんな道具を使っているのかな?」
「これです」
そちらも巨大な石斧だった。
「う~ん、これでは切るのに大変そうだ……よし!」
無限収納から鉄と鋼を取り出すと、魔法で形を変える。
平に形を整え刃の部分に鋼を使い、鉄の部分に穴を開けそこに木の棒を通して楔を打ち込む事で斧がした。
斧の横には3本の筋が入っている。
これはたしか長爪と言って魔除けだったはず。
「よし、大きめに作ったから重いな」
普通の斧は重さが1.5~3キロほど、今回作った斧は6キロ程の重さになるだろう。
俺が両手で持ち上げるのもやっとになる。
「お持ち致します」
氷花が斧の柄を持つ、見た目が女の子だけに大丈夫かと心配するが、ヒョイッと受け取ると片手で持ち上げた。
ワ~オ、パワフル。
俺の魔法であっと言う間に出来た斧に全員呆然としていたが、氷花がその細い腕で斧を片手で持ち上げる様に今度は全員目が点になった。
「氷花、その岩肌の……」
「マサキ様、ゾーフル様です」
「ああ、ゾーフルに渡してくれ」
ゾーフルが氷花から斧を嬉しそうに受け取ると、重い斧はその巨体に見合って軽く振り回している。
「おお!すげー、こりゃ良い重さだ!」
「よし、他の者にも渡すから、少しだけ待ってくれ!」
「マスター、お手伝いします」
ミナと2人で魔法を使って作業をすると、すぐに多くの斧とついでにノコギリを作り出す。
「よし、大体全員に行き渡るな、この中にロドルクはいるかな?」
「あいよー、俺です」
俺が作った斧を持ったり眺めたりしているドワーフの集団の中央から声がする。
「おいらがロドルクですが、何でしょう?」
そこに現れたのは、ドワーフらしいドワーフ髭面でズングリとしていて腕の太さは人の胴体ほどある。
そのドワーフが俺の作った斧を担いで近寄ってきた。
斧を担いだ姿がメチャクチャ似合う、惜しむらくは斧じゃなくてバトルアックスであれば……。
「ロドルク、鍛冶師の人達には別に仕事があるんだ」
「別に?」
「ああ、鉄を製錬する炉と鍛冶をする炉を作って欲しい」
「鉄をですかい!そりゃ作りたいですが……俺達には」
恐らく高熱に耐える炉を作った経験が無いのだろう。
これだけ貧しい村だから致し方ない。
「ミナ、作り方は分かるかい?」
「はい、問題ありません。材料の方も揃っています」
「よし!じゃあ、ロドルク鍛冶師の人達は、ミナと一緒に」
「マサキ様、ミナ様は畑の土壌整備がありますので、私が対応したいと思います」
氷花が頭を下げて前に出る。
「大丈夫かい?」
「ミナ様とデータを共有出来ますので、材料さえ置いてもらえば問題ありません」
「了解、氷花に任せる」
「はい、承りました」
これで全員の仕事が決まった。
「じゃあ、作業を開始するから、鍛冶師はミナと氷花に付いていって、他は俺と木を切りに行くよ」
「マスターこちらを着用して下さい」
「んっ?ああ、ヘルメットか!」
ミナは両手でヘルメットを渡してきた。
たしかに伐採時には、頭上からの枝の落下等注意が必要だ。
「全員分用意しました」
ミナの後ろには、大小様々なサイズのヘルメットが重ねられていた。
しかし、なんで俺だけオレンジで他は黄色なんだ?まあいいや。
「マサキ様、これは何でしょうか?」
全員が不思議そうにヘルメットを見つめる。
まあ、この世界で安全ヘルメットなんて存在しないだろうから。
「これは、ヘルメットと言って頭に被って頭の上から落ちてくる物で怪我をしないための保護具だ」
全員の前で実際に被って見せる。
「なるほど、これならタンコブ作らんでいいな!」
すぐに理解して開拓組全員ヘルメットを被った。
でも、
「後ろの部分で大きさを調整できる。そして顎の紐は苦しくない程度にしっかり締めるように!ユルユルでヘルメットがズリ落ちて、その上から物が落ちて来たら怪我するぞ!」
全員のヘルメットを調整して各自着用を確認する。
「よし、全員問題なし!出発しよう」
左側開拓の作業に入る。
久しぶりのキコリの作業は手に豆が出来るほど大変だった。
夕方近くになると、村人は作業を終了し帰宅させ
俺達は、フォートルの家に集まり本日の作業報告に入る。
俺やアル、ミナだけなら通信で済ませられるが、フォートル達にも聞いて貰いたくてね。
フォートルの家に入ると、ほぼ真っ暗と言ってもいいほどだったので魔法で光を作り出した。
まあ、ここでも村人全員唖然としてたんだけど。
「ミナ、この町の地図を描けるかい?」
「はい、少々お待ちを」
ミナは無限収納から大きめの用紙を取り出すと、鉛筆を使って寸分の狂いも無いほど正確な地図を書き上げる。
「うん、これで見ると、結構道も狭いし曲がっているな」
「はい、畑の位置と面積、家の場所、どれもバラバラでこの先ライフラインの整備等に支障が出ます」
ミナの正確な地図を見るだけでこの村のバランスがひと目で分かる。
「フォートル、この先、家や畑の移動などがあるけど大丈夫か?」
「マサキ様、家の取り壊しや建築には時間が掛かるかと……」
困った顔で応えるフォートル
「その辺は問題ない、俺には魔法があるから一瞬で移動できる!」
「おおっ!そうでしたな、村の者には私から話しておきましょう。移動する際には一言掛けて貰えば問題ないかと」
「うん、よろしく頼む!」
無限収納があるから家後と移動、畑ごと移動は簡単に出来る。
畑の移動の際に漏れ出てしまう微生物等は、ミナが移動させれば問題ないだろう。
それと区画なども今後考える必要が在るな。
「氷花、炉の方は」
「はい、順調に建設中です。小さいですが製錬の炉が近日中に出来るかと」
うん、順調にいっているな!
製錬の炉が出来て鉄が作り出されれば、次はロドルク達、鍛冶師の出番だ!
「アルの方は、どうだった?」
「うむ、子供や年寄りの怪我は治癒魔法で対応済みじゃ、あとな、合わせて魔法が使えるか調査したのじゃがな……」
アルフィーナが若干もったいぶって話す。
いや、自身でも信じられないといった雰囲気だ。
「なんと、魔法量は大小違うが、村の全員魔法が使えるのじゃ!」
「へー、そうなんですか」
「へーではない!村の全員じゃぞ!私がこの地に来た時、一緒に居った者達は全員魔法量皆無じゃった。その子供達に急に魔力が宿って居るのじゃ!全員じゃぞ、全員!」
アルフィーナの話では、突然魔力が宿った感じだ。
この世界に来て1週間足らずの俺にはよく理解できない。
「マスター、それについて月花から報告があります」
「ん?なんだい月花」
金髪ツインの月花が一礼して前に出る。
「報告します。アルフィーナ様が村人の魔力調査で使用した水晶玉の光り方にだれ一人、パターンが同じ者が居ませんでした」
「つまり?」
「指紋、網膜などと同じ様に個人認証が可能かと」
なるほど、魔力は一人ひとり波長が違うのか。
俺はただ光っただけだけど……。
「なんの事じゃ?」
「さっき月花が言ったように、魔力で水晶玉を光らせると、誰一人同じ光り方をしなかったそうです」
「なんじゃと!」
村人が全員魔法が使える驚き以上にアルフィーナは驚いている。
新発見かな?もう名前を考えるのはイヤだよ。
「引き続き提案致します。これを用いて個人認証及び今回得られたデータを使って戸籍等の住民情報を纏められるかと」
「おお、そんな事出来るの?」
「はい、この村の人々は年月日の概念が無いので身体の情報で割り出しが可能です」
ふむ、これで住民全員にいちいち聞き回らなくても住民基本台帳が作れるな。
「柿の報告をします。渋柿は全て回収し皮むき熱湯への投入を終了しミナ様が無限収納へ回収しました」
「無限収納へ?」
「はい、マスターこの村にある家の軒先には吊るす事が出来ませんでした」
なるほど、それなら仕方が無い、後日、専用の吊るし場を作るか。
周りを見回すとフォートルたちは、俺達が何を言っているのか分からないと言った感じで呆然としている。
アルフィーナは難しい顔をして話を聞いていた。
俺達が知らない言葉を使うのに、もう慣れたんだろう。
「まあ、色々出来ると言う事だ!」
「はあ、マサキ様が仰るのなら」
半信半疑の状態のフォートル達
今すぐに分からなくてもいい、ゆっくり理解してくれれば問題ない。
それだけの教育の土壌が今はまだ無いのだから。
「よし、詳細は明日にして今日は解散しよう!お疲れ様!」
「お、お疲れ様でした!」
それぞれに挨拶を交わし家路に着く。
家に帰ると、舞花と翠花から報告があった。
「マサキ様、牛28頭を無事捕獲しました。現在は飼育施設で管理しています」
「なお、牛はオス8頭、メス15頭です。別に子牛はオス3頭、メス2頭がいます。メスの母乳の状態も良好なので明日にでも搾乳は可能です」
そういえばミナが牛を捕獲させるって言っていたな。
「ありがとう、これで牛乳が使えるよ!」
礼を言って2人の頭を撫でる。
あれ?これで良かったのかな?
食事を取り、お風呂から上がって居間でミナに今後の村開拓について相談する。
「ミナ、今後の村の開拓なんだけど、やはり人力は大きくは開拓できないね」
「そうですね、岩鎧族、トロール族の様な巨体を持ってしても難しいと思います」
ミナも同意見らしく頷く。
「俺が魔法で開拓しても意味が無いからな」
人のためにと思って、その人の仕事を取って終わらせてもその人にためにはならない。
多過ぎるなら減らせば良いが、少なくては得る物が何も無い。
「でしたらマスター、私が重機を用意したいと思います」
「出来るの!」
さすがに重機まで考えていなかった。
「はい、部品を私が作りますので組み立ては家に残る魔導人形に任せ、完成しだい無限収納で村まで運びましょう。数日で必要台数が揃うかと」
「燃料は?まだ石油なんて見つけてないけど?」
「はい、バッテリーで問題ないかと、不足分は魔石を使って魔道具で補います」
さすがミナだな!問題点を洗い出し解決策を既に出している。
「分かった。でも、今後石油が発見された場合の機構も付けられる?」
「問題ありません」
「じゃあ、お願するよ!」
「畏まりました」
重機が完成したら村の人々に運転を教えないとな……。
運転を一歩間違えば大事故にも繋がる。
安全第一をまず教えないといけないな。
明日の村の開拓を描きながら就寝する。
さて、明日からどうなる事やら……。
異世界転送物語 ~もう一つの世界へ~ みんな笑顔でいます! みずねこ @mizuneco
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