詩の多様性について

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 詩の多様性について――私は一つ、驚かざるをえないような詩人を知っている。驚かざるをえないような詩らを知っている。学校の教科書でしか詩を読んだことのないような人間にとっては、まるで詩とも思えないような詩を書く人間を、そしてそういう人間に描かれた詩を知っている。その詩は正真正銘の文章の羅列である部分と、大多数の人が詩と聞いて連想するような「詩的」な部分とを持ち合わせて、それらが全体を覆う混沌とした調子の中でさりげなく融合しているのだ。あたかもそうなっているのが当然のことであるかのように。

 一体どんな頭をしていたらこんなものが書けるのかと不思議でたまらなかったし今もそれは変わらない。その詩人の頭の中というのは余人をはるかに凌ぎ詩的であったり、あるいはあらゆる想像から隔絶された造りをしているに相違ない。

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詩を書くということについて 他 金村亜久里/Charles Auson @charlie_tm

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