エピローグ

 ある日の放課後、都市伝説研究部部室にて。

 「カワラベの噂のこと、覚えているかしら?」

 「はい、勿論です!」

 「まぁ、忘れられない噂の一つだな」

 「それじゃあ、神園の車で帰る途中で、路上に水死体が横たわっていたのは覚えているかしら?」

 「あぁ、勿論だ」

 「ん……?」

 「そのご遺体のことなのだけれど、どうやら、こことは別の市に住んでいた女子大生だったらしいわ」

 「そうだったのか」

 「犯人は、その女性を殺害した後、自宅の浴槽に遺体をひたしていたそうよ。ただ、時間が経過すれば、当然浴槽の水はみるみるにごっていく。だから、何度もその水を入れ替えては、できるだけ新鮮な水死体のまま保とうとした。けれど、それにも限界があった。だから、犯人には、新たな水死体が必要だった……」

 「なるほど。川の中であれば、常に水が流動的だから、浴槽のときのような手間ははぶけるわけだ」

 「れ、玲子さん! 何冷静に分析しているんですか!」

 涙目で何かを訴えかける梨沙を見て、冬子はふと思い出したのだった。

 梨沙はあの時、ことを。

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カワラベ 那須村 裕 @nasumura

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