メーンムァ・無間


目の前には穂先メンマが山の如く積み上げられている。


人の背丈よりも高く積み上げられたそれは裸電球で煌々と照らされる。


4畳半ほどの窓のない薄暗い部屋にこもる筆舌に尽くしがたい乳酸発酵の匂い。

敷かれた畳にもメンマが染み込んでいる。


あまりのメンマ圧にただでさえ狭い部屋がさらに狭く思えた。



身動きの取れないまま漫然とメンマを眺めていると無性に腹が空いてくる。


メンマ人類学の権威、メーンムァ教授も言っている。

“メンマがあるならば、それを食べることは地球人の常である。”と………


……誰だよ、メーンムァ教授。


七合目あたりから慎重に一つだけ右手で抜き取る。メンマが怯えるように震え、汁と匂いを飛ばす。それを口に放り込んだ。



口に入れた瞬間、舌に広がるメンマ。

鼻腔を満たすメンマ。

咀嚼する。

ほぐれる繊維質。

噛めば噛むほどにメンマ。




まごうことなきメンマだ。

手がベタベタする




メンマの滋味が体に染み渡っていく



それからしばらく、メンマを食べ続けた。





—メンマとはなにか?


—メンマを食べる人間とはなにか?


—人間に食べられるメンマとはなにか?


無限の問答メンマの繰り返しの中で何かが見えてきた


—人間がメンマを必要とするのか?はたまた、メンマが人間を必要とするのか?


—いや、人間の本質がメンマにあるようにメンマの本質も人間にあるのだ。


—人類が先かメンマが先か?


—人類がいるからメンマは生まれたのか?

—メンマがあるから人類は生まれたのか?


無限に折り重なったメンマの先に光が見える


—バンコクのメンマよ団結せよ!


—メンマは原始太陽であった。


—ようこそ!ここがメーンムァ王が治めるメーンムァ王国だよ!


—メンマか人かそれが問題だ。


—メンマは複雑怪奇。


—観測した瞬間にメンマ関数は収束するのだよ。


—スピンアメンマスピンスピンスピン


—わけいつてもわけいつても…………




ハッ!!


なにか長い夢を見ていたようだ。



ふと、メンマの1人が話しかけてきた。

息がメンマ臭い


「君はタケノコは好きかい?」


「ああ、大好きだ。」



「そうかそれは残念だったね。僕はキn



世にも珍しい喋るメンマを食べてみた。


まごうことなきメンマだった。


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夢の中のエトセトラ 結城 サンシ @yuuki34

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