ポッドポッドポッド

 河川敷の芝生の上で寝転がって目に優しい青の空を見上げる。


 傍に流れるのは綺麗な川だが、夏も終わり、泳いでいる人の姿はない。


 それどころか河川敷にも人影はない。



 今、この瞬間のこの景色を知っているのは自分だけ。そう思うと不思議なことに沸々と優越感が湧いてくる。

孤独感と優越感は表裏一体なのだ。


 どこまでも抜けていくような青空に無彩色の彩りを加える雲のような白い雲。

穏やかな風に流れて光る芝生に、絶え間ない川の水音が心を無にしていく。


 それら全部が僕だけの物だ。






 1人でニヤニヤしてると秋の涼やかな風が僕の頬を優しく撫でた。


 んっ?なんだろう?


 風に乗っていい匂いがした。


 甘いようでいて、どこか爽やかで澄んだ印象を受ける秋のような素敵な匂い。


石鹸?いや、花かな?



 気になって風が吹いてきた方に顔を向けてみると、そこには裸足の少女が立っていた。



 ああ、綺麗な膝だなぁ。



 そのまま顔ごと視線を上げると少女と目が合った。


 どこか涼やかな印象と可愛らしさを両立させた美少女さんだ。


 そんな少女は足元にいる僕と目を合わせながらニッコリと微笑んだ。


 はあ、上から見た方が人の顔は可愛いく見えると言うけれど、下から見ても可愛い人は可愛いんだなぁ。


 この見下ろされてる感じが胸の奥をムズムズさせる。




 黒い絹糸のような長い髪が風に吹かれて揺れた。


 丈の短い黒いワンピースも風で揺れる。



 あっ、鼻の奥が急に熱くなってきた。


 はっ!ふとももかっ!!

ふとももを見て僕は興奮してるのか!!




そうか、ふとももか。




 鼻血を出さないように少し上を向きながら少女に見惚れていると彼女はしゃがみこみ、覗き込むかのように僕に顔を近づけた。




 僕の心の中の歓喜に気づく素振りも見せずに少女は僕の耳に口を近づける。


 否が応でも僕の意識は彼女の気配を感じる耳に集中させられる。


 彼女の熱く少しだけ湿った吐息が耳に吹きかかって変な気分になってきた。





 そして少女は僕に囁く。





「パイポッドは二脚。トライポッドは三脚。じゃあってなぁんだ?」


「六脚」





「答えは昆虫でしたぁ!」




「なんか納得が行かないです。」












という夢を見た

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