銀河を股にかけた大戦争が起きようとも、その後に勃発した社会の混乱の中でも、再び起き始めた動乱でも、その男が行い続けたのは土を耕し、種を植え、美味しい作物を育てる事。そして……。腹が減っては戦は出来ぬ、と言う言葉もありますが、他所の生き物からご飯を得る従属栄養生物である以上、それを作り続ける者がいなければやっていけない……そんな生きる上で根幹を成す事実を再確認させてくれる、どこか小気味良い短編作品。ある意味、この結末は継続が見事な力になった結果なのかもしれないですね……。
一見すると関係のないものに思えるのですが、読み進めていくうちに、ああと胸に落ちるのです。戦争を終わらせるためになにをするのか?圧政を強いる政権打倒に身を投じるのか、悪政をよきものへと内側からアプローチするために情熱を燃やすのか。果たして目に見える解決策で継続的な平和を手に入れられるのか。とても考えさせられる物語。静かに語られるものの中に見える思いを受け取ってみてはいかがでしょう?
農業時代も不作や戦争はあったのでしょう。しかし、どんなに高度な文明でも、物的資源や人的資源を維持・向上させ、適切に再分配・再投資できる技術や政策がないと、資源枯渇や環境破壊、腐敗・堕落や戦争・犯罪といった自然・社会環境の悪化を招いて、持続できない。ならば農業社会の方が、よほど平和に続いてゆけるのでは?という寓話のように読めました。
遠い宇宙、遥か彼方の銀河系。帝国と戦うレジスタンスとなれび、胸躍る壮大な物語かと思いきや、一人の農夫が主人公です。ネタバレになるので割愛いたしますが、読み終えた後、なるほどなと椅子の背もたれに深く身を預けるような気持ちになります。何が大切なのか、しみじみと思いにふける。そんな物語です。
人の業をうまく表現できていると思った。まるでアフリカの現在から未来を見ているよう。現実はあんないいオチにはならないだろうが。