今日は、主人公にとって、最悪な日だった。涙は止まらず、化粧はぐずぐず。それでも一人のアパートに帰る。そんな一人暮らしのアパートに、美少年が現れる。しかも、窓枠に座っている。動揺する主人公。そんな主人公の手を取って、彼は主人公を「外」の世界へと誘う。
夜空を駆けて、彼が主人公を誘った先にあるものは――。
人間の心には、誰だってキャパシティがある。それを越えた時には、きっと違う視点で見ることも必要だ。コンクリートの建物の中に閉じこもって、光に照らされているのではなく、その四角い建物の窓から見える光を見るとか。既成概念にとらわれず、透明な風の階段を上るとか。何百光年前に放たれた星の光に、思いをはせてみるとか。
生きていれば、万事が上手くいくことはない。かみ合わない歯車のように。嫌な日もあれば、平凡なつまらない日だってある。でも視点を変えれば、いつだって、見守ってくれる存在がいることに気が付く。良い日だってきっと。
『夜空を駆ける』
題名通りの、ちょっと不思議で、癒される物語。
是非、ご一読ください。