脳筋ホラー解決少女
綾@祐李
メリーさんの電話
夜、電話がかかってくる。
「あたしメリーさん。今ゴミ捨て場にいるの…」
電話を切ってもすぐまたかかってくる。
「あたしメリーさん。今タバコ屋さんの角にいるの…」
そしてついに「あたしメリーさん。今あなたの家の前にいるの」という電話が。
少女は思い切って玄関のドアを開けたが、誰もいない。やはり誰かのいたずらかと思った直後、またもや電話が…
「あたしメリーさん。今 あなたの後ろにいるの」
夜、私のところに電話がかかってきた。お母さんもお父さんも共働きで誰もいない家には私しかいない。お母さんかな?と思って取った電話の向こうは少しノイズがかっていて、わんわんと吠える犬の声が聞こえる。
その時、女の子の声が聞こえた。
「あたしメリーさん。今ゴミ捨て場にいるの…」
ゴミ捨て場?と首を傾げた時に電話は乱暴にがちゃん!と切れてしまう。いたずらかな?と思った私は受話器を置いてそのまま遊びに行こうと背を向けた瞬間、気の抜ける音が鳴った。電話だ。
「あたしメリーさん。今タバコ屋さんの角にいるの…」
「タバコ屋さんは結構遠いけど大丈夫?」
電話をとれば、さっきの電話の子で何故か離れていくその子が心配になった私はつい声をかけてしまう。けど、私の声も、がちゃん!と乱暴な切り方で電話が切れてしまい届くことはなかった。
さて、今度こそと背を向けるとまた電話がかかってくる。
「あたしメリーさん。今あなたの家の前にいるの」
「え、めっちゃ近づいたね。家あってる?」
謎の親近感を覚えて話しかけるもそれもがちゃん!と乱暴に切られて不発に。ちょっと悲しくなってきた。念のため玄関を開けて確かめてもメリーさんはいない。やっぱり家を間違えたのかな?と不安に思っていればまた電話が鳴り響く。
「あたしメリーさん。今 あなたの後ろにいるの」
その声は、受話器を当てている右耳からも、そうではない左耳からも聞こえた。つまり、このメリーさんは本当に私の後ろにいるということだ。ゆっくり、ゆっくり振り返り…そして、
まずは振り向きざまに右ひじでエルボーをメリーさんに叩き込む!すかさずよろけたところを右腕を持って関節を逆方向にへし折り!あらぬ方向に向いた関節の腕をひっつかんでそのまま一本背負い!
「って、あれ?」
感触は確かにあったのに、私が顔を確認しようと顔をあげさせるとその姿は霧のように霧散して消えていく。
それ以来、うちにメリーさんと名乗る人物からの電話はぱったりこなくなった。
脳筋ホラー解決少女 綾@祐李 @aya1645
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。脳筋ホラー解決少女の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます