十代の少年少女のコンプレックスが爆発すると、学校はダンジョンになります。これが魔王病です。何らかの理由で遅刻した生徒たちがパーティーを組んで魔王の討伐を目指します。そんなお話です。雑な説明ですみません。でも、これだけでも興味は持っていただけたかと思います。十代の少年少女特有の複雑な心の内を、上手くRPGの世界観の中に落とし込んで描いている本作。現在と幼い頃の記憶が絡み合い、終盤は驚きの連続が待ち受けてます。皆様も、自身の思春期の記憶を手繰り寄せながら読んでみてください。
ナノマシンというSFな世界観にもかかわらずやっていることはコッテコテの青春ジュブナイルでそこにダンジョンとかJRPGな要素を入れてコトコト煮込んで出されたような作品。全ての具材がよく煮こまれて出汁が効いてて優しい味わい。軽妙な掛け合いで規模は大きいけれども、どこかドタバタ日常感の抜けない奮闘劇。頑張るお兄ちゃんはかくもかっこいいものなのですね。
良い意味でファンタジー系ラノベっぽくて好きな人には好きかもしれない。文章もとても読みやすくスラスラと読むことが出来た。妹が魔王になった理由も語られているが、ハッキリ言ってこれについては賛否両論ありそうだ。私は、こういう発想はありだと考える。小説なんでぶっとんでいる方が面白い。ドンドンやっていただきたい。