ソーセージ武装集団によるベジタリアンカフェ襲撃事件

【速報 ソーセージ武装集団 ベジタリアンカフェを襲撃】


「今日、未明。ドイツの首都ベルリンで、ベジタリアンカフェにソーセージで武装した集団が押し入り、客や店員に強引にソーセージや骨付き肉を食べさせるという事件が発生しました。犯行グループは、国際過激派肉食組織【ウィンナー連合】の一員であると見られています」



          *


 歴史的建造物が立ち並ぶ、石畳の市街地。


 その街中に、一軒のカフェがあった。

 野菜のみから構成されるメニューを提供する、ベジタリアンカフェだ。


 店は、ベジタリアンのほか、外国人、ホモやレズといったLGBTの人々、モヒカンスタイルのコスプレをした集団など、社会的マイノリティーの人々の憩いの場と成っていた。


 事件当日も、店内ではアニメ鑑賞会が開かれ、店内はおおいににぎわっていた。


 だが、容疑者達が侵入してくると、店内には緊迫した空気が流れる。


 男達の姿を見て、従業員や店内の客達は、戦慄した。ベジタリアンカフェという場において、あまりにも場違いな姿をしていたからだ。

 男達は、ソーセージを首に巻き付け、串刺しの肉を手に持っていたのだ。


 肉で武装した男達は、信じられない行動に出た。なんと、店内でソーセージや肉をむさぼり食い始めたのだ。


「お前達に肉の素晴らしさを教えてやるぜえええええ」


 集団のリーダー格らしき男が、突如大声で叫んだ。それとともに、周囲の男達も、騒ぎ始める。


 騒然となる店内。

 店員が男達に、店から出て行くよう訴えたが、男達は全く聞く耳を持たず、状況は悪くなる一方だった。


 そして、事件は起こった。


「俺の太くたくましいソーセージを味わえ!」

「嫌ああああああああ、やめてえええええええええ」

 武装集団の一人が、若い女性客に、強引にソーセージを食べさせようとしたのだ。


 必死に抵抗する女性。しかし、男の腕力には敵わず、口の中にソーセージを押し込まれてしまう。


 ちなみに、男が押し込んだものは、ヨーテボリソーセージと呼ばれるもので、太く短いことが特徴のソーセージである。


 パニックに陥る店内。

 武装集団は、次々と客や店員に襲い掛かり、口にソーセージや骨付き肉を押し込んでいく。


 やがて、店内に警察が入ってきて、男達を取り押さえに掛かった。

 客の一人が、通報していたのだ。


 逮捕された男達は、いずれも過激派肉食組織【ウィンナー連合】の構成員である可能性が高いという。


 警察の調べに対し、リーダー格らしき男は、「社会的マイノリティーの奴らは、前から気に食わなかった。奴らを威圧するには、肉で武装するのが一番だと思った。ベジタリアンの奴らにソーセージの素晴らしさを教えてやりたくて、犯行に及んだ」などと、意味不明な事を供述しているという。

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【ギャグ短編集 】 好きなことで生きていく 佐藤.aka.平成懐古厨おじさん @kinzokugaeru

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