最高にスタイリッシュな35歳
午後1時。
朝と呼ぶには、遅過ぎるだろうか。
高く昇った太陽の光が、まぶしい。
「実にいい夢だった」
窓を開け、爽やかな空気を吸いながら、そんな風につぶやいてみる。
こうして、最高にスタイリッシュな35歳の一日が始まる。
今日は、仕事の無い日だ。
休日だからこそ、その人間の持つスタイリッシュさが、問われることになる。
まあ、私にとっては、毎日が休日なのだが。
スタイリッシュな人生を送るには、まず食事からだ。
最高にスタイリッシュな私は、朝食という普通の人間なら単なるルーティンになってしまうものに対しても、創造性を発揮する。
「やはり、朝はカップラーメンに限る」
栄養バランスや摂取カロリーといった、面倒な概念に囚われないこの食品こそスタイリッシュな朝食にふさわしい。
アパートの一室に、私一人の食事の音が響く。
私は独身だ。
ありきたりな表現になるが、「結婚出来ないわけではなく、しない」のだ。
私は結婚しないというライフスタイルを、自ら選択した。その証拠に、この35年間、純潔を守ってきた。自身のライフプランを、人生の早期から確立していたからこそ可能だったことだ。
繰り返しになるが、決して結婚出来ない訳ではない。
ふと、窓の外を見る。
駅に近い、アパートからは、休日だというのに、恋人とのデート、家族や友人との遊びに、追われている哀れな者達が見える。
世間の他の者達は、必死に働いて、金を稼いでいる。
だが、人生の価値は、本当に手にした金だけで決まるのだろうか?
私は、彼らが持っていない自由を持っている。
そして、それにはお金で買えない価値があるのだ。
私の部屋には、高価なものはほとんど無い。
あるのは、ビールの空き缶とカップ麺のゴミ、読み終えた雑誌くらいのものだ。
世間一般の常識からすれば、クソ汚い部屋だろう。しかし、常にクリエイティブな活動に挑み続けている私には部屋の掃除をする時間など無いのだ。実際、今日も予定が詰まっている。14時になったら、ウィーチューブに投稿するためのカロリーメイト(宇治金時味)のレビュー動画を撮影しなければならないのだ。
世間の人々は、私のことを35歳にもなって、働かず、結婚もせず、親からの仕送りだけで生きているゴミクズだと言う。
だが、他人の意見など、私の人生の
よく食べ、よく遊び、よく眠る。
これこそが、最高にスタイリッシュな35歳、榎本順一の揺るぎないライフスタイルだ。
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